行政委で質問 長谷川英晴参議院議員
長谷川英晴参議院議員は2月6日、参議院行政監視委員会で国会質問に立った。約30年間の局長時代に見た地方の実情や全国の地域間格差に問題意識を持った眼から、〝生き生きとした地域社会〟を取り戻すための国と地方の関係性、地域事情に応じた人材確保や育成の在り方などの問いを投げ掛けた。
地域社会の輝き取り戻す
長谷川議員 昨年11月17日の全国町村会で、デジタル施策の推進の中で財政支援と併せて専門人材の確保・育成が将来にわたる課題とし、現場ニーズを踏まえた人的支援を要望されている。人口縮減社会の地方分権と広域連携の両立に向けた展望として一つは財政支援、もう一つは連携を担う人材育成と確保が人材育成戦略の要と記されていた。
きょうも、人材を一つの組織が丸抱えをするのではなく、枠を超えたシェアの仕組みも必要との意見が出された。谷参考人の文献で、小規模自治体は人口当たりの小児科医や産婦人科医等が少なく、専門人材不足が一段と深刻とある。地方施策の実現に向けて、人材育成と確保に対する地域の課題、国の支援の在り方等を参考人の方々に伺いたい。
木野隆之岐阜県輪之内町長(参考人) 福祉の高度化、DXの推進等々、今までの切り口で職員が対応してこなかった部分の人員が不足している。特に、介護人材等は介護に従事する人材のマスが足りない。現場では対応が必要で苦慮をしている。
DXはデータを電子化する分野から、デジタル化することで何を変えていくのか、というフェーズに移っているが、そこが決定的に人材不足。民間人材育成等々も絡め、関連性を探るかが大きな課題で、そこを成功できるかが自治体の将来を決める。
伊藤正次東京都立大学教授(参考人) デジタル人材も技術者というより、技術革新を理解できる人材が一番足りず、市町村や都道府県独自で確保するのでなく、都道府県が採用した人材を派遣するシェアや民間人材を臨時で雇う人事交流も必要。
専門的な分野の人材だけでなく、組織全体のマネジメントを担う人材が必要とされている。中心的な自治体が人材育成を担い、近隣の市町村に派遣して組織マネジメントを任せ、週2日は市町村職員として、3日は県庁職員として働くなど柔軟にできないかとの問題意識を持つ。
谷隆徳日本経済新聞編集委員(参考人) 小規模市町村は二つの人材が足りない。一つは、デジタル化を含めた高度な知識が必要な専門人材、もう一つは役場の外で地域活性化に取り組む人材だ。それぞれの地域だけの育成も限界がある。都道府県等が確保して派遣し、指導する仕組みが必要。役場職員と地域の方を分ける時代ではなくなった。島根県海士町は半官半Xの形で職員を採用。役場で働き、半Xの部分では地域外に出て活性化策に取り組んでもらう。国の支援は、それら制度づくりや後押しする仕組みと考えている。