部活動の地域移行支援〝ブカサポ〟の輪を全国へ 第1弾は沖縄で

2024.10.05

 授業外でスポーツや文化、芸術活動により心を育む学校の部活動が衰退する中、心身ともに健やかに成長できる持続可能な「ブカツ」を次世代に継続しようと、日本郵政、スポーツデータバンク㈱、三井住友海上火災保険の3社が9月10日、「ブカツ・サポート・コンソーシアム」(通称:ブカサポ)を立ち上げた。

日本郵政、スポーツデータバンク㈱、三井住友海上

 スポーツ庁の方針を受け、各自治体主導で進められる「部活動の地域連携・地域移行」をトータルで支援する仕組みの輪を全国に広げる。自治体や企業等の相談を受け付ける「ブカサポデスク」も開設。全国展開の第1弾となった沖縄では12日、「ブカサポ」と県教育委員会が学校部活動の地域連携・地域移行の推進に関する協定を結んだ。

人材・財源・管理等のノウハウ提供で自治体をサポート

 「少子化」と「教師の働き方改革」が進む中、部活動の継続が難しい時代を迎えた。スポーツ庁は2023(令和5)年度以降、「学校部活動改革」として予算等を確保し、部活動を地域で支える実証事業を開始。24年6月時には全国510市区町村で予定されている。
 「ブカサポ」は企業や団体等が連携し、自治体が実施する「部活動の地域連携・地域移行」に必要な人材、物資、財源確保や運営・管理等のノウハウを提供し、支援。企業や団体、大学、研究機関等に呼びかけ、地域課題の解決を継続的に貢献する。
 スポーツデータバンク㈱が筆頭理事、日本郵政三井住友海上は理事として3社がブカサポを代表し、外部との交渉、運営と活動を進める。
 当初の支援メニューは、①プロジェクトの全体管理(制度設計、計画策定、進捗管理、人材管理等)に関するアドバイス、コンサルティング②指導者・運営支援者等の配置③3社の保有施設を活用したスポーツイベントや金融リテラシー教育等の企画と実施④「MEKIMEKI体操~カラダうごかせ!ニッポン!~」の実施――を主とするが、各社の所属アスリート、OB、OGの現場への派遣も計画する。
 日本郵政は公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)と連携し、「JSPO公認スポーツコーチングリーダー」養成講習会受講や資格取得プログラム提案により、指導者の指導の質を担保。三井住友海上が「リスク対策eラーニング」を提供するほか、活動中のけがなどを補償する「スポーツ安全保険」加入を促進する。

お問い合せは「ブカサポデスク」に

 9月10日のブカサポ設立記者会見でスポーツデータバンク㈱石塚大輔社長は「地域移行の課題は①人材②財源③管理の手法の三つだが、あいまいに進んでいるケースも多い。実証事業から実装化、自立化する観点では財源確保も急務。さまざまな企業が持つソリューションを集結し、自治体を支援していきたい」と強調した。
 日本郵政の櫻井誠常務執行役は「日本郵政グループは国内に数多くの拠点を持ち、多くの局長と社員の皆さんが体を張って地域を支えてくれている。『部活動の地域への移行』も地域貢献の一つ。また、子どもたちの運動不足を解決する手段として例えばMEKIMEKI体操も活用いただきたい」と力強く語った。
 三井住友海上の新見吉晴専務執行役員は「わがグループは地方創生実現に向けて、レジリエントで包摂的な地域社会づくり、健康長寿社会を目標に掲げている。ブカサポは目指す姿の具現化。リソースを最大に活用し、推進したい」と方針を示した。
 スポーツ庁の重点地域に指定される沖縄県では、同庁の「地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業」に参画する宜野湾市、石垣市、うるま市、糸満市、南城市、宜野座村の6市村で実証事業を実施する。(石垣市は総合型地域スポーツクラブに直接委託)

 9月12日に沖縄県庁で行われた記者会見(写真上)で、半嶺満県教育長は「部活動を継続できる環境の整備、指導者・支援者の確保、けがの保障の充実などをブカサポを通じて着実に進めたい」と述べた。スポーツデータバンクの石塚社長が概要を説明。三井住友海上の千葉岳央常務執行役員は「子どもたちの成長と地域振興の一助に」と願いを込めた。
 日本郵政の櫻井常務執行役は「第1弾が沖縄となり、沖縄郵政150周年の節目に大変うれしい。郵便局の現場で働く方々が、さまざまな役割でお役に立てれば」と力説。
 金城努沖縄支社長は「局長・社員の方々はスポーツの指導者として活躍している人材も多い。沖縄の未来へ、地域を支えるお手伝いを」と意欲を示した。