ロボットデリバリー元年が幕開け! 楽天Gや日本郵便等8社で協会設立

2022.03.10

 食品や生活に欠かせない薬等を小回りしながら安全に運ぶ「ロボットデリバリー元年」の幕が開けた。低速・小型の自動配送ロボットの実用化に向けた道路交通法一部改正案の今国会提出等の動きをにらみ、川崎重工業、㈱ZMP、TIS㈱、㈱ティアフォー、日本郵便、パナソニック、本田技研工業、楽天グループの8社が2月18日、「一般社団法人ロボットデリバリー協会」を発足した。

ロボットデリバリーの安全基準

 政府の成長戦略実行計画(昨年6月に公表)には、低速・小型の自動配送ロボットは、産業界の自主基準や認証の仕組み検討を促すことを前提に関連法案提出と明記され、岸田総理も施政方針演説で「自動配送ロボットが公道走行する場合のルールを定める」と発言。協会はこうした動きを受けて、産業界によるインフラづくりの協力体制を築き、生活利便に向けて早期実用化を後押しする。

実用化後押しを産業界が始動

 活動は①安全基準の制定②認証等の仕組み作り③行政や団体等との連携④情報の収集と発信――が柱。速度や大きさ、人や物を回避する際の安全基準等を想定する。ラストワンマイルの方法はサービス競争も予測されるもようだ。
 発足式冒頭、楽天グループの安藤公二常務執行役員は「フードデリバリーやネットスーパー、日用品等のクイックコマースサービスも拡大。楽天グループも2021(令和3)年度のeコマース関連サービスの流通総額は5兆円を突破した。
 しかし、配送の担い手不足は深刻化。新たな手段として自動配送ロボットデリバリーに期待が集まる。今年1年は普及に向けた飛躍の年。ロボットデリバリー元年だ」と宣言した。

 日本郵便の金子道夫専務執行役員は「日本郵政グループの中期経営計画『JPビジョン2025』で郵便・物流は配送ロボットやドローン等の先進技術検証を進めることを掲げる。
 2017(平成29)年より実証を積み重ね、2020(令和2)年には国内初の公道実証にたどり着けた。デジタル田園都市国家構想でも配送ロボットの活躍が話題。実用化が近づき、わくわくする」と意欲を示した。
 経済産業省商務・サービス局の畠山陽二郎審議官は「2月18日は1911(明治44)年に世界で初めて飛行機で郵便物が運ばれた日に由来する〝エアメールの日〟。協会発足は『ついにこの日が来た』と心が躍る」と喜びをみせた。
 警察庁交通企画課の今村剛課長は「自動配送ロボットの通行場所を事前に届ける道路交通法一部改正案の今国会提出の準備を進めている。広く受容され、世界をリードする役割を担えるよう願う」と期待を寄せた。
 国土交通省自動運転戦略室の多田善隆室長は「2020(令和2)年に自動配送ロボットが歩道走行できる制度を構築し、多くの実証実験が実現した。一層の安全性、利便性向上を期待する」と語った。
 ロボットデリバリー協会の向井秀明理事(JP楽天ロジスティクス)は「人や物を自動で回避しながらゆっくり走行するロボットは乗用車の自動運転よりも安全性を確保しやすく、早期に社会実装の可能性がある。ネット通販、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、クリーニング、CtoC等、さまざまな配送を想定する」と説明した。