総務省 郵便局データ活用へ、検討開始

2021.11.21

 総務省は10月15日、「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」(谷川史郎座長/東京藝術大学客員教授)の初会合を開催した。金子恭之総務大臣は「日本郵政グループは全国2万4000局の郵便局ネットワークを通じ、さまざまなデータを保有する。有効活用した新ビジネスモデルの構築が重要だ。関係者、専門家と忌憚のない議論を願いたい」と呼び掛けた。プライバシー保護を検討する「データの取り扱いWG」と新規ビジネス等を検討する「データ活用推進WG」の二つのワーキンググループも同時発足。来年5月めどにガイドラインをまとめ、意見募集後、7月頃に取りまとめる。

新ビジネスモデルと安全性保護

 山本龍構成員(前橋市市長)は「郵便局は地域ネットワークのハブ、局長の方々と多くの連携施策を重ねてきた。マイナンバーカードで特に頑張っていただいているが、郵便局も本人確認できるとありがたい。自治体として欲するのは、空き家データ。チャンスが潜んでいる。移住者が求めるのは、田んぼや畑付きの空き屋。配達リストを活用できればさまざまな施策を打てる。郵便局ネットワークの利活用を願っている」と熱願した。
 中村伊知哉座長代理(情報経営イノベーション専門職大学学長)は「公益に資するデータ戦略と、データを活用した新しいサービスの開発との両面が進むとよい。ガイドラインの検討は、法令や国際動向なども踏まえ、オープンな議論が大事。法的な制約以上に、市場や社会の受容性、運用のフィジビリティ(実現可能性)が問われる」と述べた。
 巽智彦構成員(東京大学大学院法学政治学研究科准教授)は「郵便局に自治体の公共的な事務を担ってもらう話は動きだしているため、実現するために重要な検討会だ。匿名化したデータを外部に提供することで産業の活性化に資する。軸は、公的機関等への情報提供。災害対策、感染症対策等だ」と強調した。
 長田三紀構成員(情報通信消費者ネットワーク)は「郵便局は地元に密着した存在。日本郵政グループが保有しているデータを見ると、非常に一人一人の生活に関わるデータばかりが挙げられている。『膨大なデータ』の定義をして精査し、確認しなければいけない」と指摘した。
 森亮二構成員(英知法律事務所弁護士)は「個人情報保護法には一定の公益目的がある場合は、本人の同意なく第三者に提供してよい、利用目的を変更してよいと規定があるが、『公益とは何か』の解を示すことができれば」と語った。
 谷川座長は「デジタル社会を構築するためのデータ活用の枠組みを作るためには、日本郵便の個人情報取り扱いを知る必要がある」と要望した。
 日本郵便の小池信也常務執行役員は「膨大なデータ活用がお客さまの利便性に役立てる改善策も検討したい。中期経営計画『JPビジョン2025』でデータを郵便・物流事業の改革で検討を記している。これまでのデータだけでなく、今後、どのようなデータが取れるか。ビジネス性とユニバーサルサービス共に重要。留意事項や活用の方向性の議論はありがたい」と感謝の意を表した。
 日本郵政の大角聡DX推進室長は「日本郵政グループのお客さまデータは、郵便、物販、銀行、保険など各事業、システムに分散している。昨今、デジタルを活用した異業種間のID統一化により、業種を超えた一体的なサービスを提供できる事例も増えた。喜んでいただけるデータ活用を市場や社会の受容性を踏まえた納得感ある取り組みが必要」と語った。
 中西祐介総務副大臣は「空き家対策の業務や安否確認など、地域の現場課題に郵便局データ活用を自治体の立場からも意見いただいた。DX社会の進展、日本社会をどうするかが大事な視点。公益性や公共性に配慮した連携の議論に期待したい」と締めくくった。