ザ・未来座 郵便局長のトーク&インタビュー 国定勇人衆議院議員を囲んで(下)

2024.04.10

 「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)事務局次長の国定勇人衆議院議員(写真㊥、環境大臣政務官)は中堅・若手局長のインタビューで「人と会え、小さな喜びを積み上げてさし上げられることが郵便局の強み」と強調した。インタビュアーは引き続き、中国地方会(末武晃会長:全特会長)広島呉地区会(升川康仁会長〈取材時の地区会長は向井則之全特副会長〉)の村上司局長(同㊧、中国地方会中若副委員長/広島金屋町)と信越地方会(丸山徹雄会長:全特理事)魚沼地区会(髙橋秀利会長)の細矢孝太局長(同㊨、信越地方会中若代表/石打)のお2人だ。

ホッとコミュニティーと行政相談窓口の機能を

 村上局長 自治体が行政サービスのシステム化やデジタル化を進めている中、郵政民営化法見直しの中で議論される「郵便局の公的サービス」のイメージとは、どのようなものですか。
 国定議員 業務効率化のため、また若年の顧客層獲得のために、デジタル化は重要で必須だが、「DXこそが武器の全て」との戦略は間違っている。特に郵便局の強みは「人的ネットワーク」にある。
 物流は小回りの利く配送。金融では、全国細やかに店舗を構えて一人一人のお客さまに寄り添えるサービス。日本郵政グループはどの企業にもまねができない、郵便局を基盤とする強みをもっと生かし切ってほしい。
 郵便局の特性から考えられる公的サービスは大きく分けて3種類ある。一つ目は郵便局舎の有効活用。二つ目は全国津々浦々までカバーしている郵便局ネットワークによる、地域性を鑑みた上でほぼ同一的なサービスが享受できる均質性に着目したサービス。三つ目は郵便・物流の集荷配達ができる強み――の3点だ。
 それぞれ可能性が広がるが、局舎活用は「子育てサロン」や「高齢者が常に集えるコミュニティー」等々もニーズが高い。
 実証実験も行われたオンライン診療の話もあるが、そこまでできなくても、高齢の方は自宅にこもると足腰がどんどん弱くなるため、日々足を使って郵便局に行けば「人と話せる」ことで認知症予防にもなる。
 郵便局で「今日はあのおばあちゃん来ないね」と誰かが問いかければ、「具合が悪くなったらしいよ」と答える人がいるような「健康確認コミュニティー」にもなれる。
 ユニバーサルサービス義務を担う「ネットワーク」として行政事務は自治体側と折り合いがつけば、ほぼ丸ごと受託が可能だ。郵便・物流では配達中、高齢者の方や一人暮らしのお宅に新聞がたまっているのに気付き、自治体や警察と連携できる。暮らしの下支えが郵便局の公的基盤としての最後のとりでを形成する。

 細矢局長 お客さまから、市から届くさまざまなお知らせを「これなあに?」と聞かれることがよくあり、説明するとホッとされるようです。
 国定議員 昔、積立貯金があった時代に高齢の方がよく100円ずつ預けに郵便局に行ったが、その商品がなくなってから行かなくなってしまったという話を聞いたことがある。人と会え、安心できる小さな喜びを積み上げてさし上げられることが郵便局の強みだ。
 細矢局長 郵便局に行けば、行政相談ができ、行政とタブレットなどで直接つなぐ役目を法的に担保していただくことはできませんか。仕事としての根拠が生まれれば、皆がやりがいや誇りを感じます。
 国定議員 その通りだと思う。ご高齢の方は、役所、郵便局、税務署などの仕事の分別が分からず、困った時は近くの郵便局に聞きに行かれる。局長や社員の皆さんは「自分たちの仕事ではないのだけど」と思いながらお手伝いをされている。
 全国各地には行政への苦情、行政手続きの問い合わせなどの相談を受け付け、助言や関係機関につなげる仕事を無報酬でやってくださる行政相談員がいらっしゃる。昨年、総務省が行政相談委員と郵便局長が持つノウハウを情報共有できれば、さまざまな地域課題を解決に導けると意見交換会を開始した。
 1回目は愛媛県宇和島市で行われ、2回目の新潟県三条市の開催時は私も出席している。その後、熊本県八代市、沖縄県南城市、宮城県名取市、北海道幕別町、山口県平生町、広島県広島市で開催されている。
 三条市内には行政相談委員が3人いらっしゃるが、全員が市のOBの方々。日々、〝よろず相談〟を持ちかけられる郵便局長の皆さんは、彼ら以上に地域とのつながりが深く、得意分野のはず。
 デジタルが進めば進むほど、ますます人との直接的なつながりが求められてくる。郵便局がもともと持つ強みに光を当てて、さらに地域社会の役に立つ法改正に私も臨みたい。