郵政関連法見直し法案 上乗せ規制3年ごとの検討 附則に明記
今国会で審議中の郵政関連法の見直し法案の中で、日本郵政グループ経営陣が強く求めていた、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の上乗せ規制について見直す検討をプログラム化する条文が盛り込まれたことが分かった。郵政民営化委員会(山内弘隆委員長)の3年ごとの検証の際に行うことを附則で明文化。議論した上で成り立つかは状況次第だが、議論の俎上に載せることが難しかった状況を打開できる。法案が今国会で成立できるか否かは2025(令和7)年度の収益にも影響を及ぼす可能性も高く、間接的には次期中期経営計画策定にも絡むことが予測されている。(写真は自民党の合同会議)
地域住民の生活を支える極めて重要な法案 森山特命委員長
ユニバーサルサービス維持、筋道通る法案 小森財金副部会長
力合わせて地域を創生、日本を蘇らせたい 片山金融調査会長
自民党は5月9日、総務部会(島尻安伊子部会長)・財務金融部会(宮本周司部会長)・金融調査会(片山さつき会長)・郵政事業に関する特命委員会(森山裕委員長)合同会議を開催。
冒頭、森山特命委員長(幹事長)は「前回の合同会議で一任いただいた見直し法案は、与野党の実務者協議の議論も踏まえ、特命委員会で条文化の作業を進めてきた。本日は提出に向けた党内手続きの条文審査をお願い申し上げたい。少子高齢化や過疎化の進展で地方が大変厳しい状況に直面する中、地域住民の方々の生活を支える郵便局を後押しする極めて重要な議員立法だ。今国会で成立させたい」と切実な思いを呼びかけた。
小森卓郎財務金融副部会長は「宮本部会長の代わりに参加させていただいているが、私は一昨年秋に短い間、総務大臣政務官をさせていただいた。郵便料金を30年ぶりに値上げをしても、さらなる値上げが必須の状況下、全国でユニバーサルサービスを維持するために郵政事業をどう維持するかは大変重要な問題だ。もう1点、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の上乗せ規制は政府の保有株と裏腹関係にある。法案は政府保有株の検討と同時期に銀行、保険も検討いただく筋道の通った提案を用意いただいたと思う。何としても、今国会で通せるように頑張りたい」と意欲を示した。
片山さつき金融調査会長は「森山特命委員長と山口俊一郵活連会長に民間金融機関との競争条件確保を理解いただき、厚く御礼申し上げたい。石破内閣の肝は地方創生バージョン2.0。その中で産官学金の〝金〟を大切に、と、たびたび言及いただいている。約2万4000の郵便局の拠点、全国26万人の地域の信金・信組含めた地方の金融機関が両輪となって共存共栄、協働でやらないと消滅可能自治体が増え、地域が生き残れない危機感を強く持っている。力を合わせて地域を創生し、発展させ、力強く日本をよみがえらせる絵を一緒に描けるよう頑張りたい。法案の成立はその大きな礎だ」と指摘した。
与野党はすでに5月7日の実務者協議で各党が党内手続きの検討に入る了承を得ていた。自民党は5月9日の合同会議の条文審査を経て、20日に政策審議会と総務会で了承を得たことで、党の案を固めた。
公明党も16日の総務部門会議で党内手続きを完了。5月20日の与党政策責任者会議で自公は足並みをそろえた。6月3日には国民民主党が古川元久議員中心に法案手続きを完了した。
ただ、その時点で法案の内容ではない理由で立憲民主党の賛同が得られなかった。国会会期末が6月22日のため、提出を急がなければ間に合わない状況となる。衆議院50人以上、参議20人以上が提出の条件となるが、時間は迫っている。
今後、衆議院総務委員会の可決を得て本会議へ、可決されると参議院に移され、参議院議長を経て参議院本会議で審議され、そこで可決できれば法案成立となる。
山口郵活連会長(左) 上野賢一郎衆議院議員(右)
郵活連の山口俊一会長は「今後も野党との調整になるが、選挙をにらんだ政局にしてはならない法案だ」と語っている。