かんぽ生命 郵便局ネットワークの〝人の力〟が柱
かんぽ生命は5月15日、中期経営計画の見直しを発表した。中長期的な柱としては、「営業力の成長を通じて、保有契約件数の底打ち反転を目指す」としている。お客さまからの信頼こそが企業価値の源泉であるという同社の原点、営業方針に基づき、内外環境の変化や計画の進ちょく状況を踏まえ、以下の四つのポイントで見直しを実施した。
保有契約件数1850万件以上目指す
1点目は、同社の強みである「郵便局ネットワーク等を通じたお客さまとの長期・安定的な関係の構築」。貯蓄性と保障性それぞれのニーズに応えられる商品ラインアップの拡充とともに、営業社員の積極的な採用や育成に取り組む。
その上で、郵便局や営業社員の「人の力」を通じた対面によるリアルチャネルと、利便性の高いデジタルの双方を活用したアフターフォローをより充実させていく。
2点目は「国内外の提携等を通じたさらなる収益源の多様化」。国内人口の減少が長期的に見込まれる中、持続的な成長に向け、国内の生命保険マーケットだけでなく、収益源の多様化に取り組んでいく。具体的には、大和証券グループとの資本業務提携を含む国内外での提携関係など、さらなる成長に向けた協業拡大等についても進めていく。
3点目は「人的資本経営・企業風土改革の推進」。事業運営の大事な原動力となる「人の力」をより一層発揮していくため、営業社員をはじめとした積極的な採用や、その能力に応じた育成に取り組むとともに、社員が相互にリスペクトし合い、自信と誇りを持って働ける職場環境の整備を進めていく。
4点目は「資本効率を意識した経営のさらなる推進」。今般、安定的な株主還元を実現すべく、修正利益の考え方を導入した。
当該利益を株主還元の原資として健全性を維持しながら安定的な還元を目指し、「修正利益970億円」を2025(令和7)年度の新たな経営目標として取り組んでいく。
主要目標としては、保有契約件数を当初の2000万件以上(23年度は1970万件)から、1850万件以上に見直す。
ESG目標では、2050年カーボンニュートラルを目指し、温室効果ガス排出量を引き続き、30年度(対19年度比)46%削減(22年度は33.9%削減)に向けて取り組む。また、30年度の本社女性管理者比率30%(23年度は15。0%)も目指していく。
谷垣邦夫社長は同日の会見で、「営業の底力というものは着実についてきている。今後とも、営業社員一人一人のスキルに合わせた多層的な研修、お客さまニーズに合わせた商品開発などに取り組み、次期中計期間において、保有契約件数の底打ち・反転を目指していく」と強調。
また、「お客さまにとって〝顔の見える〟かんぽ生命にならなければいけない。1万人のコンサルタントがいるが、人手が足りない分はデジタルを活用しながら、お客さまに対するコンタクトの回数をできるだけ増やし、接点を持つようにしていきたい」と意欲を示した。