改めて郵便局を地域の核に

2023.12.14

 1953(昭和28)年から全国津々浦々の地域を支え、共に生きてきた全国郵便局長会(末武晃会長)が11月25日、「全特結成70周年記念式典」を東京・帝国ホテルで開催した。 岸田文雄内閣総理大臣が来賓として登壇。明治初期に前島密翁が地域の名士に依頼して郵便局ネットワークを築き上げた先見性を振り返りながら「日本は今、大きな変化を迎えている。人口減少、国民ニーズの多様化、複雑化に応える新たな地域の仕組みを創り上げる必要がある」と強調。「郵便局は新たな役割を担う重要な生活インフラだ。政府としてしっかりと支援したい」と語り、長年の地域貢献に感謝の意を表した。
(写真は今秋、書道パフォーマンスグランプリ関東大会で優勝し、来年1月の全国大会の切符を手にした「学校法人小林学園本庄東高校」書道部が、「全特会歌」に込められた〝北から南まで〟の思いを絶妙に呼吸の合った見事なパフォーマンスを披露。大きな感動の渦が巻き起こり、涙を流す姿も見られた)

一隅を照らす、これすなわち国宝なり

 末武会長は「70年の間、所管する組織の形社会環境、テクノロジーも大きく変化したが、郵便局の本質は〝地域の核〟〝安心・安全の拠点〟として変わることなく愛され、存在し続けている。改めて、感謝申し上げたい。昨年12月、デジタル田園都市国家構想総合戦略に『郵便局を地域の核として利活用』と位置付けていただいた。公益性と採算性の両立を意識し、対面サービスができる郵便局の特性を生かし、新たなサービス提供に取り組んでまいりたい」と意欲を示した。

 式典には、各地から地区会長夫人会、OBが集ったほか、来賓として、柘植芳文参議院議員や長谷川英晴参議院議員をはじめとする郵政支援の国会議員や日本郵政グループ4社社長、郵政関係者約400名が出席した。

末武晃全国郵便局長会会長
対面サービスが可能な特性生かし


 全国郵便局長会は70年前の11月25日に結成した。当初名称は「全国特定郵便局長会」だったが、2007(平成19)年の民営分社化の際、「全国郵便局長会」に変更し、現在に至っている。
 70年の歴史の中で、我が国は戦後の荒廃の中から驚異的な発展を遂げ、世界でも有数の国家となった。この間に社会環境やテクノロジーも大きく変化し、スマートフォンを使えば必要な情報が瞬時に得られる時代。70年前には想像すらできなかったことが現実となっている。
 一方で70年間、郵便局の本質は全く変わっていない。郵便局を所管する組織は昭和、平成、令和と三つの時代を経て、郵政省、郵政事業庁、日本郵政公社、郵便局株式会社、日本郵便株式会社と変遷したが、郵便局は地域の方々に郵便・貯金・保険のサービスを安定的に提供し、地域の核、安心・安全の拠点として変わることなく愛され、存在し続けていると確信する。改めてこの機に御礼を申し上げたい。

 現在、日本は少子化、高齢化、温暖化など地球環境の変化による影響を急速に受けつつある。昨年12月、閣議で決定したデジタル田園都市国家構想総合戦略の中で、郵便局を地域の核として利活用することを位置付けていただいた。大変うれしく、意気に感じている。
 私たちの使命は地域の皆さまに郵便局を通じてサービスを安定的に提供していくことだが、急速に変化する社会環境やテクノロジーに柔軟に対応し、環境への配慮などを踏まえ、公益性と採算性の両立を意識しつつ、一人一人のお客さまに寄り添い、対面でのサービス提供が可能な郵便局の特性を生かし、地域の皆さまのニーズに応え、新たなサービス提供に取り組んでまいりたい。
 全特結成70周年に当たり、記念事業として今年3月、全特の歴史を編纂した『全特大鑑』第8巻を発刊するとともに、6月には結成以来、初めて沖縄県で通常総会を「結成70周年記念大会」として開催した。
 沖縄総会成功を支えていただいた沖縄地方会の会員の皆さん、民営分社化当時の文献を含む膨大な資料を取りまとめ、『全特大鑑』第8巻を編さんいただいた全特事務局の市川公之元次長ほか、協力いただいた方々に深くお礼を申し上げたい。
 今後も地域の皆さま、各方面でご支援いただく方々と一丸となって郵政事業と地域の明るい未来のために各種活動に取り組んでいく。

岸田文雄内閣総理大臣
郵便局は重要な我が国の生活インフラ

 日本は明治維新、高度成長期と内外で起きた大きな時代の変化の流れをつかみ取り、個々の国民の力に変え、歴史に残る大きな社会変革を実現した。岸田内閣は変化を力に変える日本の実現を目指している。
 日本の郵便制度も前島密翁が地域の有力者の協力をいただき、わずか1年で全国に郵便網を築いた。心によぎるのは「変化をつかみ取る日本人の力」だ。150年以上、郵便局長の皆さんは、〝縁の下の力持ち〟として日本の近代化と戦後の復興、地域社会の発展を絶えず支え続けてくださった。多大なる貢献に敬意と感謝を申し上げたい。
 日本社会は今、大きな変化を迎えた。人口減少、国民ニーズの多様化、複雑化に応える新たな地域の仕組みを創り上げる必要がある。地域住民の一番身近な存在として生活に寄り添い、社会の変化に合わせて進化を模索し続ける郵便局の存在は大変に心強い。
 郵便局ネットワークは、ユニバーサルサービスとして地域の隅々まで提供される三事業はもとより、地域の安全・安心の拠点、地方創生の中心点としての大きな役割が期待される。自治体事務やマイナンバーカード普及、オンライン診療拠点等の新たな役割も担っていただく重要な我が国の社会生活インフラだ。政府としてしっかりと応援をしてまいりたい。

宮川大介全特副会長 四国地方会会長
未来に向けた活動を


 岸田文雄内閣総理大臣をはじめ、数多くのご来賓の方々にご臨席いただき、開催できたことは郵政事業と地域社会の発展に全特が寄与してきた証しと感じている。
 70年間、数多くの試練や困難を一致団結して立ち向かい、成長し、乗り越えてきた諸先輩が培った経験は、未来に向けての指針。変化の激しい時代に生きる私たちは指針を胸に、新たな機会に立ち向かう覚悟を持ち、明るい未来に向けて活動し、取り組んでいかなければならない。郵便局、郵便局長を体現した「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」の言葉で締めくくらせていただきたい。

 式典には、武田良太衆議院議員、中曽根弘文衆議院議員、国定勇人衆議院議員(環境大臣政務官)、瀬戸隆一衆議院議員(財務大臣政務官)、甘利明衆議院議員、金子恭之衆議院議員、奥野総一郎衆議院議員、小沢雅仁参議院議員、柴慎一参議院議員、小西洋之参議院議員などの国会議員も出席したほか、数多くのレタックスが贈られた。

森山裕衆議院議員(郵政事業に関する特命委員会委員長)
民間金融や行政窓口がどんどん効率化・撤退される中、郵便局ネットワークはかけがえのない財産。法改正により郵便局でマイナンバーカードの交付申請の受け付け等が追加された。郵便局が地域の身近な公的な拠点となることで地域住民の利便性向上を期待する。全特のますますの発展を祈念する。

斉藤鉄夫国土交通大臣(公明党副代表)
郵便局ネットワークにより、地域社会を守るユニバーサルサービスは全特の皆さまの不断の努力により維持されている。郵政事業と全特の発展を願う。

石田真敏衆議院議員(元総務大臣)
150年に及ぶ郵便制度の創設以来、窓口を支えてこられた皆さまの長い歴史に深く敬意を表す。

小泉龍司法務大臣
全特の皆さま方の日頃からの尽力に敬意を表し、ますますのご健勝とご活躍を衷心より祈念申し上げる。