記者会見 かんぽ生命 千田哲也社長

2022.04.22

 新しい営業体制開始を目前とする3月24日、かんぽ生命の千田哲也社長は記者会見を行い、「グループ一体で総合的コンサルティングサービスをやり遂げることでニーズに応え、中期経営計画に掲げた〝再生〟と〝持続的な成長〟の基盤を作る」と強調。「全世代とコンタクトする質と量、頻度等を高め、さまざまな周辺サービスも提供し、信頼関係構築によりマーケットの拡大を目指す」方針を明らかにした。
 営業目標は新契約と継続の両面を評価する「保有契約の純増」と、アフターフォローなどの活動目標をバランスよく設定し、「一番大事なのは社員の力だ。能力を深めるマネジメントの成長も必須でPDCAを回していく」と語った。

再生と持続的な成長を目指す
営業の〝質〟高め 全世代の信頼構築

 千田社長は「人生100年時代に専門性やノウハウを持って、保険の力でお客さまをお守りできる人材育成が喫緊の課題。担当制導入でお客さまとのコンタクトを増やし、既契約の継続率向上とアフターフォローを充実。高齢のお客さま、お子さまやお孫さま、ユース世代(12~25歳の青年層)などご家族のつながりも大切にする」と述べた。

もっとその日からプラス販売開始!

 新医療特約「もっとその日からプラス」については、「日本郵政保有のかんぽ生命株式の議決権比率が49.9%となって、認可制から届出制に移行後初の自信を持って提案できる新商品。短期入院でも手厚い保障、長期入院ではさらに手厚い保障。これまでは入院保険金に上乗せされる一時金も5日分を入院初日に1回のみ支払われる内容だったが、新医療特約は20日分を入院初日に、さらに30日ごとに最大5回まで支払う。また、死亡保障が小さくてもよい場合は保険料を安くできる」と説明。
 新商品発売と同時に「春のかんぽダブルプレゼントキャンペーン」もスタート。CMは郵便局ネットワークやお客さまの人生に寄り添う姿を表している。

 さらに「『お客さまの生活に寄り添う新サービス』として、超高齢化社会の健康増進、介護・相続等の社会課題解決を目指したい。新サービスの検討領域の中心は終活・相続。困り事にアドバイスできる知識・能力を身に付けてもらう社内認定資格の取得、提供できるツール、コンサルタントを支える準備を進めている。全世代から郵便局とかんぽ生命を身近に感じていただき、末永くお付き合いできる関係を築きたい」と強調した。
 このほか、「新サービス実現のために『かんぽ生命-アフラックAcceleration Program』として、両社の経営資源を掛け合わせ、ライフイベントと健康に係るサービスを提供する協業企業を5月13日まで募集する。もう一つは、社内から新サービスアイデアを広く募集する『社内ベンチャー制度』を創設。アイデアをプロジェクト化し、応募して採用された方には『プロジェクトマネージャー』として新規ビジネスの実現を目指してもらう」と語った。(以下、記者団からの質問)

 ――保有契約の目標は。
 千田社長 22年度以降の営業目標は、新契約と契約継続の両面を評価する「保有契約の純増」。保有は一番大事だ。アフターフォローや募集品質も評価し、継続も含めて活動目標も主軸にバランスの取れた目標体系を作る。渉外再編のためにフロントラインの皆さんと約1年間、5回対話を続けた。
 数字だけ追い求める営業には戻らない思いを共有するのに、評価制度から表彰、担当制など経営陣含めて共有する。一番大事なのは社員の力だ。能力を深めるマネジメントの成長も必須でPDCA(計画、実行、評価、改善)を回す。
 募集問題の反省は「フロントラインとの距離が遠かった」こと。孤立させないマネジメントの「見える化」と「できる感」が目標設定では大事。さまざまな経歴の社員がいらっしゃるが、それぞれ「ここまでならできる」に取り組み、できたら褒めて段階的に進む「対話」や「見える化」を継続しなければいけない。

 ――目標の規模感は。23、24年度も新規目標は高く設定しない方針ですか。
 千田社長 中計で示す保有契約や純利益、株主さまへの配当やEV成長率を経営目標として設定。契約量は新規と消滅を同等に考えるストックベースの純増目標だが、新規は自粛前の2018(平成30)年度の半分程度の水準で見込む。
 約2000万件の契約を中計期間中に減少に歯止めを掛け、23、24、25年度に上昇実現の基盤を固めたい。ただし、半分では経営としてやっていけない。22年度の目標が最終目標ではない。22年度で一番大事なことは信頼の獲得。ガバナンスをしっかりし不祥事が起こらないように、ご契約内容のお知らせと説明活動を充実させる中で信頼を獲得したい。

 ――拠点集約後の、過疎地や離島などのサービス対応は。
 千田社長 経営陣とフロントの距離を縮め、マネジメントを改善し、社員を成長させてサービスを良くすることが集約の狙い。ゆうちょ銀行含めた4社連携の「取り次ぎ」でお客さまの言葉や様子をしっかり伝えることをグループ全体で実現したい。
 集約により、出勤時間やお客さまの所に行く時間が長くなることも起きる。勤務時間の工夫、車両整備、近隣局のサテライト活用などでサービス低下が起きない仕掛けを作る。
 エリアごとにコンサルタント担当領域と窓口担当領域を分けるが、窓口のお客さまもいらっしゃる。窓口で担当いただく際に窓口だけでサービスが不十分になる可能性もある際に連係プレーできるスキームを作りたい。

 ――相続や終活等に関する相談サービスは2支社が実施されていますが、日本郵便との連携は。医療や介護のサービスネットワーク構築がアフラックとのプログラムになりますか。(郵湧新報)
 千田社長 グループ全体で進めなければいけないプロジェクト。コンサルタントだけでなく、窓口の方でもお客さまが必要とする情報は金融、保険分野だけでなく、終活や相続、子育ても人生を支える意味で大事。連携しながらどう進めていくかをグループで検討中だ。
 アフラック様とは介護や商品関係に限らず、ライフイベント、健康をテーマにベンチャーの方たちを支援し、関係性をつくりプロジェクトを展開したい。さまざまなアイデアを持ったベンチャーの提案を期待している。

 ――以前、「かんぽ生命のお客さまがどこにいるのかといえば、郵便局」とおっしゃいました。郵便局現場の声をどう拾い上げていかれますか。(郵湧新報)
 千田社長 フロントラインの皆さんとの距離が離れていたことが不適正募集問題の一番の原因。我々の競争力は〝人の力〟。社員のモチベーションや能力を上げ、支えるマネジメントも前向きに成長し、初めてお客さまに喜んでいただける。日本郵便と一緒にそこを目指していきたい。
 社員の皆さんには不安もあるが、行動、お声掛けしやすくなる環境をつくっていく。フロントラインとの対話による改善を4月以降も継続する。
 我々も全国の郵便局を回って話を聞こうと思う。組織風土改革、フロントとのコミュニケーションは重要。コンサルタントの皆さん含めて声をいただき、フロントと経営陣の一体感を生むことでお客さま本位が実現できる。