先行する郵便局「クーリングシェルター」
地球温暖化による気温上昇で年々暑さが厳しくなる中、市区町村長が指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)と熱中症対策普及団体を指定する改正気候変動適応法が4月に施行されたことを受け、郵便局がクーリングシェルターとして、熱中症予防の〝休憩場〟に指定される動きが広がってきた。(写真は熊本県南関町)
九州初の熊本県南関町内局、埼玉県川口市内局も
8月15日には九州支社(久田雅嗣支社長)の熊本県北部地区連絡会(荒木誠一郎統括局長/横島)管内の南関町内4局が町から指定され、締結式が行われた。同26日には関東支社(丸山元彦支社長)の埼玉県南部地区連絡会(三田浩嗣統括局長/浦和田島)管内の川口市内46局が市から指定を受けた。
熱中症予防は郵便局で〝ひと休み♪〟
町から相談を受けた右山局長もあいさつ
熊本県南関町役場で8月15日に行われた締結式で、九州支社の西川敏光熊本地方本部長は「法令に基づかない〝涼み処〟は八代市や天草市内の局で始まっているが、郵便局をクーリングシェルターとして利用いただくのは九州では初の取り組みだ。協定を機に安心・安全の拠点として、ますます住民の方々のお役に立っていきたい」と意欲を示した。
佐藤安彦町長は「行政だけで、町民の暮らしを守ることはできない。住民の皆さまの一番近くで寄り添う郵便局をクーリングシェルターとして利用できることは、熱中症予防に大変有効。猛暑や災害など町民の健康が心配な状況が続くが、局長の方々と共に皆さまに『住んで良かった』と思ってもらえる町を創りたい」と述べた。
荒木統括局長から「お水や塩あめのようなものが少しでも準備できていれば一層、来局者の方々に喜ばれると思う」との提案もあった。
全国的にも早期の段階で実現に至った背景には、南関町健康推進課の阪田正明課長補佐が「法改正により、郵便局に熱中症予防の場を依頼できる」と知り、即座に大原局の右山春洋局長に相談したことから始まった。日頃から町と局長間で、地域課題解決に向けてどのようなことも話し合える強固な人間関係を築き上げていたことが背景にあった。
26日には、埼玉県川口市役所鳩ケ谷庁舎で市内46局のクーリングシェルター開始の締結式が行われた(写真上)。関東支社管内では11番目だが、埼玉県内では初めて。実施期間は熱中症特別警戒アラートの運用期間に準じ、10月23日までとなる。式典には川口市の小澤賢二保健部長、単マネ局代表として川村秀樹総務部長(川口北)、高野善夫局長(川口青木五/地方創生川口市担当)、金丸貴邦局長(川口柳崎/保険担当副統括局長)らが出席した。
一方、東京支社(高橋文昭支社長)と千代田区は8月21日に包括連携協定締結を機に、暑さによる高齢者の方々等の体力消耗や熱中症予防のために区内数局を〝ひと涼みスポット〟として開放した。
8月9日からは南関東支社(山田亮太郎支社長)の神奈川県西北部地区連絡会(細谷勝利統括局長/相模原古淵)管内のうち、厚木市内16局が〝ひと涼みスポット〟として開放。2019(令和元)年に締結した包括連携協定に基づく取り組みの一環で、市に提案を行い実現した。