インタビュー 全国郵便局長会 須田孝之理事
全国郵便局長会(末武晃会長)の須田孝之理事(東京地方会会長/新大久保駅前)は「令和6年能登半島地震」から約3カ月が経過した今、地域を守る防災への思いなどを語っている。
郵便局の原点は「地域貢献」
――専門委員会のご担当、そしてどんなお取り組みをされているか教えてください。
須田理事 まずは「令和6年能登半島地震」のお見舞いを申し上げたい。「地域貢献・地方創生専門委員会」「総合政策専門委員会」「事業改革・営業推進専門委員会」の三つの専門委員会を担当している。
郵便局の原点は〝地域貢献〟である。その思いを今年度の東京地方会のスローガン「世に出でて、地域に寄り添い つなげ未来」に込めた。常々、会員には、郵便局から外に出て、地域の方と触れ合おう、地域のお役に立とうと呼びかけている。3年目を迎える毎月第2土曜の一斉清掃活動(全会員対象)も定着し、各地域で喜ばれるようになった。
自地区会では、地元新宿区の「新宿シティハーフマラソン」に社員と共に参加し沿道ボランティアを務めたり、新宿区ソフトボール連盟に加入して社員混合チームで参加したり、23区の最高峰である箱根山(44.6㍍、新宿区戸山公園内)で開催される箱根山駅伝大会には、局ごとに参加している。地元の方々と触れ合う絶好の機会である。
また、郵便局とパートナーシップを組むサッカーチーム「クリアソン新宿」がJ3クラブライセンスを取得したことを機に、「スポーツ振興で新宿を盛り上げよう」とクリアソンが目指す高齢者施設や学校との連携の橋渡し役を郵便局が果たせるよう取り組んでいる。
――事業改革・営業推進に関してはいかがですか。須田理事の局は常に混み合い、外国人のお客さまも多いですが。
須田理事 自局は歌舞伎町も近く常ににぎわい、特に外国人のお客さまが多い。多くの方にご利用いただき感謝している。要員が減っていく中で社員たちの頑張りにより、営業目標も今年度三事業全て達成できた。東京のけん引役を果たせたと思う。
高齢者募集も再開され、気兼ねなく声かけができるようになってきた。しかし、いまだ募集フローや業務処理面の煩雑さによる現場負担は大きい。改善に向け、会員、社員の声を会社に伝え、現場負担の軽減に向け取り組んでいきたい。本当の意味のDX化による効率化、生産性向上の実現を一日も早く望む。
日本郵政グループは大きく、子会社も多い。しかし、グループの根幹はやはり郵便局。少子高齢化と人口減少を前提とした郵便局の「新しいモデル」プランによる再構築が必要。
特に都心部は、金融または郵便・物流に特化した局、あるいは三事業以外の新たな業務を提供する局などもあってよいと思う。
他企業が郵便局を介して活躍できる「共創プラットフォーム」を創るためにも柔軟な発想が必要だ。
夕刻に局窓口が閉まると、お客さまは皆、局周辺の小荷物を送れる他企業サテライトに行かれる。さまざまなニーズに応えられる郵便局にしなければ、便利なところにお客さまは流れていく。
また、局長が元気でなければ社員も元気がなくなる。研修もどんどん開催したいが、余裕がなく、昼食を取るのも大変。お客さまのご理解が必要になるが、窓口営業時間の弾力化は急務だ。
――政治および郵政民営化法の見直しについては。
須田理事 全特70周年記念式典に出席いただいた岸田文雄総理は「郵便局ネットワークは大変重要な我が国の社会生活インフラ」とおっしゃった。これを維持・発展させるためには、日本郵便を中心としたグループ一体経営の堅持が不可欠、さらに金融2社の上乗せ規制の撤廃も急務。
念願である郵政民営化法の一部改正の早期の成立を期待している。そのために、やれるべきことをしっかりやっていきたい。
特に、若い会員に政治の必要性を理解してもらい、行動できるよう底上げに取り組んでいきたい。