インタビュー 全国簡易郵便局連合会 川畑俊夫副会長

2022.12.01

 全国の簡易局では、地域の特色や簡易局長の経歴などを生かした「兼業」がさまざまに展開されている。実施局は約1000局を数える。自らも冷凍パンや佃煮、化粧品を販売している全国簡易郵便局連合会の川畑俊夫副会長(九州地方簡連副会長・熊本県簡連会長/水俣月浦)は「兼業は簡易局が生き残る一つの道だ」と強調する。

兼業は簡易局が生き残る道

 ――全簡連で取り組まれている施策などを教えてください。
 川畑副会長 ネットワーク調査部会の部会長を務め、ホームページの改修や兼業の取り組みなどを推進している。新しい受託者向けのテキストを作成している特別委員会のメンバーでもある。テキストは①簡易郵便局の制度について②全簡連・全簡協の組織の仕組みについて③委託手数料の変遷と仕組み④コンプライアンスの厳守と部内犯罪の防止、の4項目で構成。今年中に完成し、来年全国配布する予定だ。

 ――兼業に取り組む簡易局も多いですね。
 川畑副会長 全国の約1000局で実施している。年間平均約80万円の売り上げがある。兼業は簡易局が生き残る一つの道。物販ではできるだけ在庫負担が少なく、賞味期限が長い商品に絞っている。私の局で販売している冷凍パンは賞味期限が約2カ月間ある。今後はホームページでも、各県の成功例を紹介していきたい。

 ――会社との意見交換の状況については。
 川畑副会長 当会の将来像検討委員会と、①規制緩和②デジタル化③補助者問題④兼業をテーマに検討いただき、二次元コードでのキャッシュレス決済は実現した。兼業についても意見を聴取いただいた。簡易局を将来にわたって安定的・持続的に運営するため、現状における課題について共通認識を持ち、その対策について意見交換を行っている。

 ――簡易局を受託されたきっかけは。
 川畑副会長 大学卒業後、照明器具メーカーで照明設計士として約30年。職人の世界でもまれた。転勤族で大阪や沖縄、京都などを8回異動したが、50を過ぎた頃、水俣で一人暮らしのおやじの面倒を見なくてはと受託者となり、現在の局舎を建てて2004(平成16)年5月に開局した。
 生まれ育った地域のためにと自治会の会長を務め、盆踊りも復活させた。お客さまは来局されると、家の話やら困り事やらを話される。簡易局は地域密着の「よろず相談所」のようなもので、それが郵便局の価値でもある。人生は「一期一会」。人との出会いを大切に、私ができる精いっぱいのことをやりたい。