インタビュー 小野木喜惠子 東北支社長

2021.11.17

 下半期がスタートし、2022(令和4)年度からの新しい営業体制へ向けて動き始めている。今年4月に東北支社長に就任した小野木喜惠子支社長は「組織の違いなどでなく、〝オール郵政〟としてチームで地方創生や金融、郵便の事業を助け合い、尊敬し合いながら仕事ができる環境を作りたい」と話す。東北支社はグループ一体の「郵政創業150年Team東北FP研究会」を立ち上げ、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、アフラック生命保険の社員と郵政事業150年「JPグループ東北女性フォーラム」も開催。東日本大震災を乗り越えてきた支社は「チーム東北」で「強い窓口」を目指す。

コンサルティングセールスのできる〝強い窓口〟目指す

 ――今年4月に東北支社長に就任され、7カ月経過されましたが、改めてご抱負や感想をお願いいたします。 
 野木支社長 今年度の東北支社のスローガンは「新たな変革にチャレンジ未来を切り開こうチーム東北」。この目標を達成するためには、東北支社内だけでなくグループ各社の力も不可欠と考え、「オール郵政」としての取り組みを強化している。グループとしての組織の違いや単マネ局、エリマネ局など区分けを超えて、チームで地方創生や郵便、金融の事業を助け合い、尊敬し合いながら仕事ができる環境を作り、各事業のシナジー効果を生かして成果を出していこうと考えている。
 もともと一緒だった郵便局の原点に立ち返れば、本来のグループの持ち味や長所を引き出し合い、成長できるはず。社員の皆さん一人一人の力を最大限に発揮いただきながら「お客さまと地域を支える共創プラットフォーム」を目指していきたい。
 中期経営計画「JPビジョン2025」が目指す『グループ一体のビジネスモデルは不変』という経営のメッセージを支社としても各郵便局に発信し、グループ一体的な仕事を通して地域の方々に郵便局の本来の良さを分かっていただけるよう取り組んでいる。

 ――営業が再開されて以降も局窓口は元気にはなりにくいように思えますが。
 小野木支社長 
約2年間営業をストップしたため、中にはご案内の仕方も分からず自信が持てない社員もいる。信頼回復の山道を皆で登る途上で、プロセスを重視し、新しい営業スタイルで提案するベストな形を探っている。ベースとなる金融知識を底上げする研修に力を入れるために東北支社は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命にもお声掛けし、グループ一体の「郵政創業150年Team東北FP研究会」を立ち上げた。FP資格取得のみならず、さまざまな制度改正等含めフロントラインの社員の金融知識の土台を築こうと、各社で定期的に講師持ち回りで開催している。下期は、いよいよ積極的に「お知らせし、提案」するフェーズに入った。
 東北支社の目標は「強い窓口を作る!」こと。意味合いはコンサルティングセールスによる「金融レベルの高い窓口」「三事業の営業ができる窓口」づくり。来年度から日本郵便の営業主体は窓口になる。郵便局窓口の社員一人一人が銀行や保険会社、証券会社並み、それ以上の本物の力をつけていかなければ競争の世界で生き残れない。
 投資信託も取扱局はまだ少ないが、全ての窓口で積極的に紹介できるよう、支社は窓口社員全員が投信資格を取得するよう取り組んでいる。FP資格も支社管内社員の3~4割が取得しているが、取得率を高めることはもとより、取得をゴールとするのでなく、日進月歩で変わる税法や金融の法律関係の継続教育にも注力していきたい。資格を生かし、営業の質を高めることが生命線だ。

グループ一体のチーム東北!

 ――研修や人材育成はどのような形で進めていらっしゃいますか。
 小野木支社長 支社は各種スキルを底上げするための方策のディスカッションを繰り返している。また提携金融機関等の委託元との連携体制強化も、実営業を盛り上げていくためには大切だ。各郵便局で営業の動き方は異なる。良い取り組みを横展開するために会議での発表や、情報紙を活用することで横展開と研修を同時並行で進めている。
 コロナ禍で出張せずとも皆がつながれるタブレット活用のZoom研修が多かったが、緊急事態宣言解除以降は、支社から直接向かえる環境になった。今後はそれぞれの地域に合わせた独自研修も増やしていきたい。対面研修もできれば、と考えている。
 実は先日、日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命のグループ会社に加え、提携先であるアフラックさまの女性社員を集めて、郵政150年を記念する郵政創業150年「JPグループ東北女性フォーラム」をZoom開催した。参加者380名の女性社員に加え、男性の統括局長や指導的な立場の方も含めると、総勢約400人がタブレットでつながった。ダイバーシティ推進施策の一環として開催したが、今後もさまざまな研修等でノウハウを活用した研修を展開していきたい。
 人材育成では〝褒める〟施策を進めている。それぞれ異なる仕事に取り組むフロントラインの好事例を支社が敏感にキャッチし、表彰状や記念品贈呈、また、私の直筆で社員に感謝のはがきを贈っている。ただ、東北管内だけでも約2万7000人が仕事し、委託の方や関連会社が入るとさらに大人数。管理職の方々の力を借りなければ頑張る社員を見落としてしまう。局長や管理者の皆さんには、一人一人の社員をよく見て、褒め、状況に応じてマネジメントいただけるようメッセージを発信している。さまざまな研修を進めてきたが、下期はマネジメント研修にも力を入れたい。

 ――多くの郵便局も被災した東日本大震災で10年半。現状、郵便局はどのような状況ですか。
 小野木支社長 
今なお、復旧できていない郵便局もある。原発避難地域はまだ住民の方々が戻られていない地域もあり、全局開局できる運びには至っていない。金融機関がどんどん地域から撤退し、年金を受け取るのは、郵便局しかない地域も東北にはある。そうした地域は郵便局に対する自治体からの期待も大きい。都市計画がある程度整った地域の郵便局から再開し、今年度は4局が再開できた。
 最も犠牲者が多かった陸前高田局は被災局の中でも、単独マネジメント局として集配と窓口が併設されていたが、被災後は配達と窓口業務を別々の仮設局舎で運営してきた。ようやく今、市街地の形成が出来上がりつつあり、それに合わせて来春再開しようと建築中である。原発周辺地域も少しずつ帰還が認められ、次年度になるが楢葉局が再開する予定となっている。
 実は、私自身が陸前高田市の出身。実家は津波で流され、親戚宅も何軒も流された。被災後は、休日に支援物資等をワゴン車に積み込み、自ら運転して在宅避難する方や介護施設、避難所に届け、瓦礫の片づけに歩いた。津波で母は高台に避難できて助かったが、その後、4年ほど四畳半の仮設住宅に一人で暮らし、今は高台移転の地に家を建て暮らしている。実体験もあって被災地復興と郵便局の復旧に強い思いを持っている。
 郵便局を核とする郵政グループは、これまで以上に地域創生に向け、自治体の皆さまとパートナーシップを持つことで、もっと地域に役立つ存在になっていけると考えている。

※小野木支社長の写真の後ろの額は、支社長就任後に倉庫に眠っていた草花の切手を拡大し、飾ったもの