トラック輸送CO2削減に挑む 日本郵便×日本郵便輸送

2023.07.01

 日本郵便と日本郵便輸送は5月24日、郵便や荷物を運ぶトラック輸送に係るCO2排出ゼロの100%リニューアブル・ディーゼル燃料(RD燃料)の実証実験を開始した。物流ニーズとSDGsの両立が叫ばれる中、物流トラック業界もRD燃料の精製に挑んでいるが、RD混合率50%以下のものが多く、100%純粋なRD燃料を使った実証は業界初。実証トラックの往復走行距離は1日100㌔㍍、年間約8000㍑の燃料を使う想定で、1台当たりCO2約20㌧が削減される見通しだ。(写真はトラックにRD燃料を給油)

全国初の100%RD燃料で

 実証はRD燃料トラックが、神奈川県にある日本郵便輸送海老名営業所を出発した後、神奈川西局から①横浜泉局と保土ヶ谷局②藤沢北局と藤沢局の2経路を、1日当たり2便で局間輸送を行う。
 実験の目的は、従来のディーゼル燃料との差の有無、実運用した際の問題点を、①加速状況の操作性や車両メンテナンス上等、運転への支障の有無②燃費③燃料給油方法――の3点から検証する。

 日本郵便の取集と集荷、目的地への個別配達は軽四車やバイクを主とするが、全国に60局ある地域区分局起点の「地域間運送便」は主にトラックが使われ、日本郵便輸送に委託。
 同社のCO2排出量年間約6万3000㌧のうち、95%がトラックの排出によるもので、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す日本郵政グループとして課題となっていた。
 トラックの場合、積載する荷物の重量と本体の重量を足した車両総重量に制限があり、EV化はバッテリーで車両本体が重くなることで積載効率が悪くなるため、難しかった。
 このため、両社はトラックのCO2削減策を継続的に検討。車両のエコドライブの推進や、ハイブリッド車両導入にも取り組みながら、今回のRD燃料のほか、水素の燃料電池車も共同で今後の実証実験に向けて取り組んでいる。

日本郵便輸送部の中原担当部長㊨、日本郵便輸送企画部の柳澤部長㊧

 日本郵便輸送部の中原農担当部長は「グループの中間目標として、2030(令和12)年度に19年度比でCO2の46%削減を掲げる中、大きな意味がある一歩。今回は燃料をクリーンなものに入れ替えるCO2削減だが、車両と燃料双方に改良を加えて対応する方法として、水素トラックも検討している」と展望した。
 日本郵便輸送企画部の柳澤吉宣部長は「RD燃料のメリットは従来の軽油を入れ替えるだけで走行可能で、既存車両がそのまま使える点。課題は、軽油の3~4倍かかるコストと供給体制。給油スタンドが神奈川県と愛知県の2カ所のみのため、今後、燃料供給の事業者と検討する必要がある」と語った。