Σビジネスで地元企業を元気に

2023.01.28

 ゆうちょ銀行は地域になくてはならない銀行として定着する民営化戦略の鍵、「Σビジネス(ゆうちょらしい新しい法人ビジネス)」に本腰を入れる。JPインベストメントを中核とするGP(ファンド運営に責任を持つ中心的立場)投資業務を全国のネットワークで地域金融機関等と協業し、投資先の発掘とともに、新たなビジネスを行う中小企業等が手に届きにくいマーケティングまで支援。地元企業や店舗を元気にすることで資金の好循環や地域課題の解決を目指す。次期中期経営計画(26年~)での本格展開に向け、2024(令和6)年9月末までに推進体制を整備する。

ゆうちょ銀行、GPに本腰

 Σビジネスとは、GP投資を通じたゆうちょ銀行らしい法人ビジネス。同行は2018(平成30)年2月に、かんぽ生命と共にJPインベストメントを立ち上げたが、これまではGPでなく、LP(ファンドの出資額を限度に責任を持つ)中心に地域金融と協業。
 21年の改正銀行法施行により、ゆうちょ銀行も地域活性化ビジネスに参入できるようになったため、ΣビジネスではGPとなって国内の中小企業を中心に成長を後押しする。本格展開に向けて既存のGP企業に30数名社員を出向し、外部専門家の招へいも行っている。
 投資先から得た情報を基に新たな商材を開拓し、販売戦略の策定、紹介と媒介業務を推進。日本郵便とも連携する。将来的には日本郵政グループ各社の顧客基盤や営業体制、サービスなどを生かし、グループ各社の連携とシナジー効果による事業も検討する。GP業務への投資は現中計が終わる25年度末までに約1000億円規模まで増やす。

水野CEO
 ビジネス第1弾として昨年11月29日、パイシステムズジャパン(水野博商CEO)が提供する「免税還付手続きの電子化サービス」(煩雑な免税手続きをモバイルアプリで容易に完了)の加盟店開拓に関する協業契約に締結した(12月号に一部既報)。
 同日のシンポジウムで池田憲人社長は「地域金融機関との連携を着実に積み重ね、Σビジネスの地ならしをしてきた。DXは専門業者と信頼に至る仕組みづくりを検討中だ。中小企業はマーケティングまで手が回らない企業も多いが、全国ネットワークを使って少しでも加盟店開拓や販路拡大の手伝いをさせていただきたい。パイシステムズ様との協業は、直接郵便局と関わるものではないが、局長の皆さんが持つ各地域の店舗情報等も取り込んでいけたらありがたい」と強調した。
 パイシステムズジャパンの水野CEOは「日本には本来、免税販売ができる店舗が約97万店あるが、実際に免税販売しているのは約5万5000店。100%電子化して国税庁にデータで送信を要する手続きがハードルを高くしている。当社サービスは、インバウンド旅行者の方をターゲットに商売する際に新たなチャネルとして無料で提供する。売り上げを伸ばし、商売を拡大できる」などと説明した。