日本郵政第10回定時株主総会
日本郵政グループは上場後10回目となる定時株主総会を、かんぽ生命が6月18日に大手町プレイスホール&カンファレンスで、ゆうちょ銀行と日本郵政は24・25日にザ・プリンスパークタワー東京で開催した。株主数約63万人、発行済み株式総数約32億株を持つ日本郵政の第20回定時株主総会は雨模様も相まってライブ配信再生回数が昨年に比べ2倍以上、最高視聴者数も1.5倍以上となった。5年半社長を務めた増田寬也社長から根岸一行取締役が社長 に就任するトップ交代の節目として社会の注目度も高まったと見られる。株主からは〝現場目線〟の重要性を指摘する声も挙がっていた。(※記事における役員の方の役職は株主総会時点)
〝現場目線〟に勝機あり
日本郵政の増田社長は冒頭、「一連の不祥事についてお詫び申し上げたい。総力挙げて再発防止に取り組む」などとお詫びの言葉を述べた。佐竹彰監査委員長が「お客さま本位の業務運営を引き続き注視する」と報告。映像にてグループ中期経営計画「JPビジョン2025+」に基づく各事業の現状と展望、資本政策等が紹介された。
郵便局窓口事業はネットワークを効率的に活用する窓口半日休止による局周配達や観光地の土日休日営業の試行も放映された。
株主からの「『本社と郵便局現場で働く方の考え方に乖離がある』との文書を見たが 、株主も本社を見学させていただきたい」との要望に対し、西口彰人常務執行役が「郵便局はお客さまとの接点で非常に重要な資産であり、拠点。
本社とフロントラインの考え方に乖離があってはならない。一体的に取り組めるように努力し、社員の本社見学等も行っている。株主の方々の本社見学も検討していきたい」と語った。
「かんぽ生命の株主総会でも質問したが、全役員に現場の同行をお願いしたい。また、意見を言いづらいような人事風土は変えていただきたい」には、大西徹常務執行役が「現在も意見交換を通じて現場の状況把握や方針説明等、同じ方向を向けるよう対応している。営業社員への同行は法人分野では既に実施しているが、やはり役員自ら先頭に立ち、社員一丸となって企業価値向上に努める必要がある」と指摘した。
「自社株買いでROE(自己資本利益率)をよくされているが、自社株買いしか方策がないのですか」との質問に、加藤進康代表執行役副社長が「分母の自己資本を減少させて効率的な資本構成とし、分子の連結利益向上を図ることが必要。分母は自己株取得を一定程度継続。収益は金融2社の株保有割合が減少する中、日本郵便の収益力向上が必須。成長分野の荷物に投資するため、5月に日本郵便新株引き受けに6000億円増資した。ROE5%超を目指す」と説明した。
「点呼問題について協力会社の委託関係を教えてください」には、美並義人常務執行役が「佐川急便様や西濃運輸様等これまでの協力会社への委託を拡大に加え、今保有する軽四輪で代替し、トラックが使えない5年間のオペレーションを確保する。ただし、軽四輪の特別監査もあるため、他の運送会社への委託拡大や、1台の軽四輪を多く動かすことなども検討している。万全を期したい」と強調した。
その他質問等に飯塚厚取締役兼代表執行役上席副社長、伊藤友理執行役、大西徹常務執行役らも応じた。選任された取締役13人のうち、新任の根岸一行取締役と小池信也取締役が紹介され、増田社長退任に伴って社長に選任される根岸取締役が「全力で取り組む」と意欲を示した。
ライブ配信の総視聴者数は2210回、最大同時接続数は911人。来場株主数は285人だった。