生きる!地域と 福井県防災士会
全国で約1万2000人の局長が防災士として地域防災の一翼を担う中、福井県防災士会(日本防災士会福井県支部)では局長が、あて職として「副理事長」「会計」「監事」を任されるなど、全幅の信頼が寄せられている。同会の副理事長兼事務局長を務める福井県東部地区会(嶋崎一哉会長/坪江)理事の久保田幹大局長(一乗谷)ら関係者に話を伺った。(写真は地域防災マップ作成のサポート)
局長が「副理事長」「会計」「監事」で奮闘
福井県防災士会の活動は多岐にわたる。県の委託事業として「地域防災マップ作成指導者研修」「防災キャンプ支援」「地域防災リーダースキルアップ研修」などがあり、昨年度は「学校防災アドバイザー」を全56校に派遣。昨年8月の大雨の際は勝山市や南越前町で、久保田局長や地元局長らが災害ボランティアとして泥かきやドライバー役などを担った。
久保田局長は「2008(平成20)年6月に有志で県防災士会を立ち上げて以来、15年で裾野が大きく広がった。講演は年間100カ所ほどもあり、講師派遣依頼は、ひっきりなし。準備や依頼に追われる日々だが、防災士会の入会を希望される方は常にいる」と、うれしい悲鳴を上げる。
年間100カ所で講演、地域防災の担い手
久保田局長の原点は04年7月の福井豪雨。局長就任直後でまだ防災士ではなかったが、ボランティアを募り、地元の朝倉遺跡の泥かきを行い、カップ麺や乾電池を配布。被災者のためにと軽トラックに無料温水シャワーを設置し(写真下)、大変喜ばれた。
「東日本大震災の際にも何人もの局長がボランティア活動に行き、がれきの運び出しなどを行った。目前の課題は多いが、今後は重機資格の取得講座やチェーンソーの講習会などのスキルアップと、各市町の防災士の会の活性化などに取り組みたい」と久保田局長は使命感を燃やす。
県防災士会理事長で福井工業高等専門学校教授の岡本拓夫氏(日本地震学会会員)は「福井県は大きな河川もあり、豪雨や大雪もたびたび起こった。今後、地震や津波も想定される。それ故に、地元をよく知る局長さんたちの存在は大きい。久保田局長は本当に熱心で信頼できる心強い仲間。福井県に、なくてはならない人だ」と期待を寄せる。
北陸地方会の宇野憲二会長(三方)は「北陸の富山・石川・福井3県の局長たちは、ほぼ全員が防災士の資格を取得して活動に励んでおり、市町の防災士の会で要職に就いている人も多い」と強調する。
久保田局長は「朝倉氏遺跡を愛する友の会」の事務局も務め、「フォトコンテスト」(福井県・福井新聞社後援)を毎年開催しており、応募作品はフレーム切手に採用されている。
地元を愛し、守ろうと奮闘する局長たちの存在は〝安心の砦〟として、郵便局の価値をますます高めている。