マイナ電子証明書発行を郵便局で 第1弾、都城市で開始

2022.05.17

 政府が年度内にも、ほぼ全国民への普及を目指す「マイナンバーカード(以下:マイナカード)」に搭載される「電子証明書の発行・更新手続き」を九州支社(豊田康光支社長)管内にある「イオンモール都城駅前内局」(樋口剛局長)が5月10日、スタートした。
 電子証明書はマイナカード保有者が納税や行政手続きをオンライン申請する際に必須で、5年に一度更新も必要なものだが、宮崎県都城市の委託を受けて局窓口が一部事務として受託。昨春成立した改正郵便局事務取扱法に基づき、実現した。自治体以外が電子証明書の発行と更新を行うケースは全国で初めて。

自治体オファー続々と !

 すでに複数の市町村から同様の委託オファーがあり、今年度中にも全国幾つかの郵便局で始まる予定。政府はデジタル化社会に向けて、マイナカード普及を進め、マイナカード搭載の電子証明書の利活用も推進している。4月1日時点のマイナカード交付率は全国で43%だが、電子証明書事務を郵便局でもできるようになったことで地域住民の生活利便性向上に大きく影響するため、普及そのものに拍車が掛かる可能性が出てきた。
 郵便局は過去20年ほど住民票写しや納税証明書の交付、ごみ袋やプレミアム付き商品券販売等の自治体事務を各自治体の意向によって継続してきたが、法改正により新たに「代理人請求」「提出届」「マイナカードの電子証明書手続き」ができる業務として加わった。
 その際、各支社や局長が自治体に「郵便局でこうした業務ができるようになりました」と案内チラシを配布し、政府も都道府県を通じて各市町村に通知がなされ、幾つかの自治体と日本郵便で協議が進められる中、都城市が第1弾として、地域利便の良い場所にある「イオンモール都城駅前内局」で「マイナカードの電子証明書手続き」を初めて受託することになった。

郵便局、マイナ拠点の価値高まる

 手続きは、来客者が局窓口で申請書を記し、局社員が申請書とマイナカードで本人確認し、来客者は暗証番号(4桁)を入力(暗証番号を忘れた場合、初期化)した上で、郵便局が申請書とマイナカードをタブレットで写真撮影し、データを自治体に送付。自治体が申請を受理すると、返事が郵便局に届く。
 再度、来客者が暗証番号(4桁、6桁~16桁)をタブレットに入力すると、データが自動的にJ-LIS(マイナカードの発行や電子証明書を扱う団体)と連携し、発行された電子証明書が本人のマイナカードに記録される仕組みだ。

各地の自治体から委託オファー

 マイナカード普及に関する郵便局の支援は、総務省がマイナポータル端末を貸与して行うサービスとして、群馬県前橋市内局で5年前に始まり、生活利便に役立つ形で全国の郵便局に広がっていった。今年に入り、石川県小松市と市内局の委託契約も実装されたが、マイナカードを持たない市民への申請サポートになる。
 一方、今回、都城市が委託した事務は、すでにマイナカードを保有する市民がカードを有効に活用し続ける環境づくりに郵便局が貢献する。
 電子証明書はe-Tax(国税電子申告・納税システム)やマイナポータル(行政手続きオンライン窓口)を使う際に必要で、例えば、コロナ禍で一昨年、全国民に支払われた特別定額給付金10万円をオンライン申請したい場合に電子証明書は必須。
 自治体窓口は、本人確認のために住民に暗証番号を入力してもらわなければならないが、忘れる人も多く、何回か間違えるとロックが掛かり、解除手続きで窓口も混雑し、当時は人手不足に困窮していた。
 また、電子証明書は5年に一度の更新が必須で、さらに電子証明書2種類のうち、「署名用電子証明書」は婚姻で氏名が変わったり、引っ越ししたりした場合も更新が必要。法改正により、それらの再発行・更新手続きが郵便局でできることになった。
 4月28日に行われたオンライン記者会見で、日本郵便地方創生推進部の金子浩之専門役は「デジタル社会実現に向けて、約2万4000あって局舎に人もいる身近な郵便局が、デジタルに弱い方へもサービスが提供できる期待あっての法改正。日本郵便は自治体業務を積極的に受託し、地域住民の方々の利便向上に貢献したい。第1号として都城市で始まるが、近日中に開始する自治体が複数あり、調整中の自治体もある。しっかりと拡大していきたい」と語った。