マイナといえば、郵便局

2023.01.26

 マイナンバーカードと交通系ICカードをひも付け、公共交通等を割り引く群馬県前橋市発のサービスが、2023(令和5)年度から全国展開される。もともと総務省の「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」として昨年11月、市内全46局にマイナカードと交通系ICカードをスマートフォンと連携させる端末機を配備し、始まった事業だが、河野太郎デジタル大臣が市を視察。政府は12月23日、「デジタル田園都市国家構想」の総合戦略に盛り込んだ。

郵便局で普及のサポートを

 同事業を実施する自治体はデジ田交付金の補助対象となる。〝つなぎ合えば皆、便利になる〟「マイナカードの民間連携」は今後、各地であらゆる主体を巻き込みながら広がっていく。
 日本郵政の増田寬也社長は同日の記者会見で「郵便局で普及のサポートをさせていただきたい。自治体と住民の方との個別の接点がどんどん少なくなってきた。役目を代替するのは郵便局しかない」と語った。

日本郵政増田社長
玉城町の〝空き家調査〟受託 全国初

 日本郵政の増田寬也社長は12月23日の記者会見で、日本郵便が「空き家調査業務」を三重県玉城町から受託したと発表した。すでに個人向けの「空き家のみまもりサービス」は試行しているが、自治体業務としては全国初。2020(令和2)年度の総務省「郵便局活性化推進事業」を踏まえて事業化した初の受託となる。
 増田社長は「防災・衛生・景観等の悪影響が各地域で顕在化し、自治体の実態把握ニーズが高まっている」と強調。一方、総務省から「マイナンバーカード申請サポート事業」等の受託も報告。国からの一括委託は初めて。

 冒頭、増田社長は「大雪により被害に遭われた被災者の方々にお見舞いを申し上げたい。空き家は2018(平成30)年に849万戸、空き家率13.6%だったが、2018年には1367万戸、空き家率21.11%。20年間で約60%増加が見通されている。調査業務は1~3月まで集配社員が空き家の現状を確認し、外観撮影と合わせて町に提供し、町は調査データを基に空き家の活発な利活用や安全対策を推進する」と説明した。
 記者団の「ドローンの今後の展開を」との質問に対し、「配送拠点となる郵便局は集落の中心部に位置するものが多い。中山間地域等は効用を発揮できるが、将来は都市部等にも広がると思え、大変期待している。実証実験の範囲を広げ、早くレベル4に対応し、実用化を図っていきたい」と強調した。
 「アフラックとの提携で日本郵政の議決権比率が20%になる時期の見通しは。がん保険の販売強化に向けて」には、「アフラックとかんぽ生命で研修等を積み重ね、直近は一時期より上向いた。私は米アフラック・インコーポレーテッドのダニエル・P・エイモスCEOと昨夏に会い、日本の事業展開を相互に確認した。日本のチャールズ・D・レイクⅡ会長、古出眞敏社長とは定期的に打ち合わせをしている。今まで以上に相互に成長するように相談し合う」と述べた。
事務局が「24年5月のアフラック株主総会での確定を受け、20%を超えれば利益の一部が日本郵政の連結決算に反映される」と補足した。
 郵湧新報の「マイナカードと郵便局で動きが出ているが。空き家調査含めて公的サービスを一層ビジネス化する考えは」には「地域の仕事として要請があるものはできるだけ受けていきたい。費用面の折り合いが前提になるが、極力掘り起こしたい。郵便局と配達のネットワークの強みを生かし、自治体の課題や要望等を伺い、受託拡大に取り組みたい」と意欲を示した。
 さらに「マイナカードは自治体だけで全てカバーするのは難しい想定もあったのだと思う。交付業務は法改正を総務省で考えていただいていると聞く。動向を見ながら郵便局で普及のサポートをさせていただきたい。自治体と住民の方との個別の接点がどんどん少なくなってきた。役目を代替するのは郵便局しかない。通常業務に支障がないよう条件整備が必要だが、しっかり行えるようにしていきたい」と語った。