インタビュー 茂木孝之関東支社長

2023.08.22

 広大な関東エリアで指揮を執る茂木孝之関東支社長が、中国支社長から異動・赴任して1年2カ月。茂木支社長は「お客さまのライフスタイルに合わせ、今後は土日等も活用した『金融相談会』開催にも取り組み、〝また行きたい〟と思っていただける身近な金融機関として、お客さまニーズに的確に応えていきたい」と意欲を示す。また、郵便局ブランド商品として、「むつぼしいも」を「千葉県睦沢町の新たな特産品として認知され始め、道の駅や郵便局でも人気商品。さらに多くのお客さまにお届けしたい」と強調する。

「また行きたい!」郵便局づくりを

 ――ご就任後に実践されてきたことをお教えください。
 茂木支社長 郵便・物流事業では、送達日数見直しや土曜休配といったオペレーション見直し後の業務運行確保と、成長分野である荷物を軸に収益拡大に注力してきた。
金融営業では新しいかんぽ体制の下、「純増目標」と「活動目標」の2軸による営業推進がスタート。3年間の営業ブランクを克服し、「お客さま本位」の営業推進を軌道に乗せるように取り組んできた。
 営業再開後も、積極的な提案をためらう管理社員や社員も見受けられたが「長い間お預けいただいた定額貯金や満期のお客さまに、感謝の気持ちを込めて商品・サービスを提案してお役に立つことは、郵便局の使命」と社員に伝えつつ、推進を図っている。
 前向きに頑張る社員を褒めながら、座談会や情報紙を通じて好取り組みの横展開を図り、マネジメント強化にも注力している。今後は、土日等も活用した「金融相談会」開催にも取り組み、〝また行きたい〟と思っていただける身近な金融機関として、お客さまニーズに的確に応えていきたい。

 ――マイナンバーカードの交付も郵便局でできるようになりましたが、付随する事務など今後の自治体との連携への展望を。
 茂木支社長 郵便局で申請支援・交付、また電子証明書関連事務も含め、一貫したマイナカード関連業務ができるようになったことは大きな前進。自治体との連携をさらに強化してまいりたい。
 関東支社管内は7月末時点で、11自治体からマイナンバー新規申請支援事務を、茨城県石岡市からは電子証明書関連事務を受託している。昨年度は総務省・群馬県前橋市と連携する「公的地域基盤連携推進事業」として、地域連携型交通系ICカードの販売、次世代移動サービス「MaeMaaS(まえまーす)」の登録サポート等にも取り組んだ。
 また、20211(令和3)年度から栃木県日光市役所の業務を、市内の一部郵便局で幅広く受託し、市と市民をタブレットでつなぐ行政相談を全国で先駆けて実施している(写真下)。

 今年度は日光市が推進するワーケーション施策を活用し、日本郵便の協議会の開催も予定。それらの取り組みは郵便局が地域に寄り添ってきた成果の表れだ。
 現在、他の自治体からもさまざまな相談をいただいており、郵便局ネットワークを活用したプラットフォームを構築し、「公共性」と「企業性」の両立を目指したい。

 ――千葉県市川南局のような物流ハブ局の計画は。関東支社管内ではファミリーマートや東京電力等との連携のもと、さまざまな共創プラットフォームが進んでいますね。
 茂木支社長 市川南局はDXの本格的な実運用に対応した「次世代型郵便局」。DX導入局を全国展開していく方針も聞いており、日本郵便のDXのトップランナーとしての期待に応えられるよう、鋭意取り組んでいる。
 「ファミマとの連携」「郵便局と駅との機能連携」「農福連携による無人販売」は、ESG経営(サステナビリティ経営)の一環。関東では地域と共創し、生み出した全国初の「ほしいも事業」も展開している。
 「ファミマとの連携」では、21年10月から、埼玉県の川越西局内にファミマ省人化店舗を設置、茨城県の柴崎局(稲敷市)ではファミマ商品を陳列し、局窓口での販売を開始した。
 一方、20年8月にJR内房線で江見駅局が誕生し、全国初の「郵便局における駅窓口業務の一体的な運営」を開始した。今年3月12日には、江見駅局内でJRと連携した駅と郵便局のコラボイベントも開催し、地域住民の方々、鉄道ファン、郵便局ファンの皆さまにも多数お越しいただいた。
 続く駅業務との一体運営を、24年夏頃にJR内房線の安房勝山駅(写真下はイメージ、千葉県鋸南町)で開始する予定だ。

金融営業、むつぼしいもの販売拡大にも意欲

 地域金融との連携では、21年12月に東日本銀行との手続事務の受け付け・取り次ぎに関する業務委託契約を締結し、今年6月末時点で、茨城県内8局で取扱中。「農福連携による無人販売」は今年3月から、㈱Agrinos様の受託による無人販売を埼玉県久喜市にある鷲宮局で開始した。鷲宮局に納品された梱包野菜を局窓口で販売する中、「近所で地元産の新鮮野菜を購入できる」と喜びの声をいただいている。
 「ほしいも事業」は、21年3月から千葉県の睦沢局敷地内に立ち上げた工場で「むつぼしいも」の製造・販売を開始して3年目を迎えた(写真下)。

 睦沢町の新たな特産品として認知され始め、睦沢町周辺の道の駅や郵便局での人気商品だ。郵便局のオリジナルブランド商品として、今後も多くのお客さまへお届けしていきたい。

 ――局長や社員の方々の人材育成については。
 茂木支社長 郵便局は人的依存度の高い職場だ。個々の社員能力を最大限に発揮できる職場を目指し、社員自らが考え、行動できる人材の育成に取り組んでいる。局長をはじめ管理社員の皆さんに対してはマネジメントスキルのほか、相手の立場に立った「傾聴コミュニケーションスキル」向上にも力を入れている。
 また、社員の皆さんには、コロナ禍で社員間の交流が希薄化した現状を改善することも視野に、集合研修の機会を増やした。特に新人層の「横のつながり」醸成のため、グループワーク研修で他者の思考や意欲に触れて、挑戦する意識を高めている。全員が自信を持って成長していけるよう取り組んでいる。