ヘルスケアとモビリティでまちづくり
地域ごとに限定的、かつ大胆な規制緩和を実施しながら住民目線でデジタル実装に取り組み、地域課題の解決や活性化を目指す「スーパーシティ構想」――。今春、スーパーシティ型国家戦略特区に「つくばスーパーサイエンスシティ構想」と「大阪府・大阪市(共同)スーパーシティ構想」の3自治体が選ばれた。(写真は大阪駅周辺)
スーパーシティ特区首長らが講演
8月26日に東京・丸の内JPタワーで開催された「スーパーシティ・スマートシティフォーラム2022」(本紙9月号に一部既報)では特区首長3人がヘルスケアやモビリティを採り入れた「まるごと未来都市」の計画や状況を講演した。
大阪府と大阪市のスーパーシティの舞台は、2025(令和7)年に開催する大阪・関西万博の会場「人工島の夢洲ベイエリア」と、大阪駅北側の都市公園を形成する「うめきた2期地区」。ヘルスケアとモビリティを柱に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに世界屈指の先進スマートヘルス都市を目指す。
万博開催までの期間を「フェーズⅠ」、開催期間中(フェーズⅡ)、開催後「フェーズⅢ」と計画を立て万博開催中は空飛ぶ車の運行や会場内外でのレベル4相当の自動運転実現。万博後(フェーズⅢ)に、空飛ぶ車が日常に普及する環境を整備する。
大阪府の吉村洋文知事は「万博までに実現したいのが空飛ぶ車だ。そのために必要となるプラットフォームが大阪広域データ連携基盤(通称ORDEN)の活用により、官民のさまざまなデータ連携を実現し、MaaSの実装等も目指している。新しいものにどんどんチャレンジし、未来の人々のQOLの向上と都市の競争力強化を大阪の成長につなげていきたい」と意欲を示した。
大阪市の高橋徹副市長は「ORDENを整備し、さまざまな主体が持つデータを組み合わせることで革新的なサービス創出の活力あふれるデータ駆動型社会を創る。医療・健康分野は、万博開催中に大阪ヘルスケアパビリオンを設置し、健康医療データの利活用、実証・実装、開催後に広域データ連携基盤を通じて健康医療、介護、薬剤、スポーツなどいろいろな分野のサービスをつなぎ、高度化を図る次世代PHRを実現したい」と展望した。
一方、つくば市は「世界のあしたが見えるまち」をビジョンに掲げる。五十嵐立青市長は「インターネット投票という新しい仕組みを市内の茗溪学園の生徒会選挙で実装し、成功した。遠隔の医療相談アプリから発展させ、コロナ禍での住民体調管理もデジタル化。つくばドローンは、マンション敷地内や山間部でなく、スーパーと連携して住宅街上空を飛ばす許可をいただいた。航空法はまだ整備されてないが、将来的には自分の上の空中権の売買や取引に発展する可能性もある。自動配送ロボットは注文し、早ければ30分で住民の方の自宅に届けられる」と先行する状況を語った。