北海道・日本郵政・楽天Gが包括連携

2022.04.16

 北海道、日本郵政、楽天グループは3月29日、国土の22%を占める広大な面積による広域分散型地域構造、寒冷地、首都圏から、遠方地など道特有の地域課題解決に向けて3者初となる包括連携協定を締結した。179市町村のサポート体制を構築する「北海道デジタル実装サポートチーム」を4月中に設置し、5月から「シニア向けスマホ基礎講座」を道内各地の郵便局で実証する。遠方の物流コスト高も一括配送等に挑む。デジタル実装の社会変革の〝官民共同モデル〟の先駆けを地方発で目指していく。

地方発!デジタル実装の〝官民モデル〟

 3者の包括連携協定はデジタル実装の推進、地域創生等の協力を主に①北海道デジタル実装サポートチームの設置し、モデル事業の検討やメニュー化②北海道特有の課題解決の実現モデルや要件の検討・ドローン配送の実用化や北海道発荷物の配送効率化③外国人向けオンライン行政相談やシニア向けスマホ基礎講座の試行④物販に関する3者のノウハウやネットワークを活用した地域振興策――の4点を検討し、推進する。

郵便局でスマホ講座、遠方の配送費も挑む

 記者会見で北海道の鈴木直道知事は「北海道Society5.0構想を両グループのネットワーク、デジタル技術を生かし、課題解決に新たな連携の枠組み構築を投げ掛けた。こうした3者の協定は初めて。シナジー効果最大化を図って、北海道をフィールドに先駆的な取り組みに共に挑戦する」と述べた。

3者連携しモデル事業を検討 物販課題に道筋探る

 日本郵政の増田寬也社長は「3者連携は日本郵政グループの経営理念である地域貢献につながる。中期経営計画では〝共創プラットフォームの確立〟を目指している。北海道は都道府県の中で最多数の1466局があるが、物流もグループの強みを生かし、道内の地域で抱える課題やニーズ解決に努めていきたい」と語った。
 楽天グループの三木谷浩史社長は「楽天が国内で展開するさまざまネットを通じた約70事業のノウハウやアセットを活用し、北海道の地域のハンディを魅力に変えたい。北海道から荷物を送るのはコストが高いが、例えば、楽天ふるさと納税を一括で送ることで、配送コスト削減に日本郵便と協働で挑んでいきたい」と意欲を示した。
(以下、記者団からの質問)

 ――「より低廉な手段で一括輸送」のイメージとは。
 中井幹晴地方創生推進部長(日本郵便) 頻度を抑えた効果的な集荷方法により、拠点にまず集約した上で北海道の拠点から本州の拠点までを一括輸送することでコストを下げる。頻度を減らすデメリットが発生しない形を検討。物流データ分析等を行って運用方法を検討し、実証実験を行う。常温を対象に工夫できる。事業者の方もメリットを見いだす形を進めたい。
 ――サポートチームはいつからスタートし、どのようなデジタル実装で課題解決を考えますか。3者連携のきっかけは。
 佐々木徹総合政策部地域振興監(北海道) 3者からそれぞれ選出し、計10名ほど。オンラインでの協議の場も検討中。4月から実施する。オンライン行政相談、スマホ教室を足がかりに郵便局ネットワークを活用させていただき、地域ニーズに即す検討をしている。昨年3月、日本郵政様に知事から「新たな枠組みでの連携」を提案し、8月から楽天様にも参加をいただき関係部署で共同プロジェクトの協議、検討を重ねてきた。
 ――それぞれ本業へのフィードバックや今後の事業展開への期待を。
 中井部長(日本郵便) 地方創生、地域活性化を進めることは日本郵政グループの存在意義そのもので、メリットがある。地域課題をともに推進することでウィンウィンの関係を作れる。
 木村美樹コマースカンパニー地域創生事業ディレクター(楽天グループ) さまざまな施策を通し、楽天のサービスの魅力を向上していけることがメリット。楽天のeコマースのノウハウ、日本郵政グループの物販ノウハウ、郵便局ネットワークを活用し、北海道の地域振興策に対応できることは喜ばしい。