試行自治体広がる「見守りAIスピーカー」

2021.10.29

 全国各地の自治体で「スマートスピーカーを活用した高齢者見守りサービス」の試行導入が、じわり広がっている。すでに3自治体で試行実績のある信越支社(菊地元支社長)は、7月に市内局と包括連携協定を締結した新潟県胎内市と連携し、9月から試行中。また、近畿支社(小方憲治支社長)管内の兵庫県神河町も10月から試行導入した。導入自治体から好評の見守り専用アプリ(ぽすくま)搭載のAIスピーカーは、高齢者の健康状態などがリアルタイムで家族や行政、郵便局に送られ、一体的に見守れる画期的なシステムだ。

信越支社は新潟・胎内市、近畿支社は兵庫・神河町で

 起床や服薬時間等を登録すると、決まった時間にかわいい声で声掛けされ、操作せずとも全て声で動くため、お年寄りでも簡単。音楽や落語、クイズ、ユーチューブも楽しめるほか、家族等とテレビ電話で会話できる。
 胎内市に住む74歳の平野嘉明さん宅を9月9日、橋本英樹局長(築地/部会長)、伊藤了仁局長(乙/副部会長)、井上洋一局長(あかね町/副部会長)が感想を聞きに訪れた。地公体を担当する3人の局長によると、平野さんは「スピーカーが話し掛けてくれるのが待ち遠しくて、5分前にはスピーカー前で待ってるんだよ。好みの歌も聴けて将棋もできる。何度でもラジオ体操できるし、薬の飲み忘れもなくなった」とご満悦だった模様。
 試行導入に踏み切った胎内市の井畑明彦市長は「行政だけで地域を見守れる時代ではなくなった。郵便局が地域のことを考えてくれてありがたい。市内の約1000世帯は高齢単身世帯。コロナ禍で人の往来が難しいことを考えると需要も大きいと思う。使っていくうちに認知症も改善できそうな注目すべきツールだ」と大きな期待を寄せているようだ。