インタビュー 日本郵政不動産 山代裕彦社長(日本郵政専務執行役、日本郵便専務執行役員)

2023.03.20

 日本郵政グループ「JPビジョン2025」で約5000億円の投資が計画され、成長分野として期待される不動産事業。今春から来春にかけても各地で矢継ぎ早に大型物件の竣工が予定されている。自治体や地元住民の方々と協議し、開発を進める同社の山代裕彦社長は「地域社会に貢献し、新しい不動産価値をつくり出したい」と意欲を示す。

地域に貢献する新しい不動産価値を

 ――今年度、来年度に力を入れたい計画は。
 山代社長 「広島JPビルディング」竣工を筆頭に、今年3月以降、「蔵前JPテラス」「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(日本郵便旧東京支社・旧麻布郵便局)」、「五反田計画(旧ゆうぽうと跡地)」、来春に「梅田3丁目計画(旧大阪中央郵便局)」の大型5物件が順次竣工予定だ。
 グループの不動産事業の中核、基礎として5大物件を開発から推進してきた当社の手により、滞りなく管理運営を開始する。収益を生み出すためにテナントを埋める営業に重点的に取り組むが、ESGやDXにも重きを置いた新しい不動産価値をつくり出したい。
 日本郵政グループは人生100年時代のお客さまの一生を支え、地域社会の発展・活性化に貢献し、持続可能な社会を構築するESG経営を目指す。当社も同じ思いで持続可能な開発を実践する。
 ESG経営として、①地球環境②ウェルネス③地域社会④レジリエンス――の4テーマを掲げ、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)認証の取得、太陽光発電導入や壁面や屋上の緑化、保育所や高齢者施設、劇場やホール等の文化施設整備で多様な社会・暮らしを支える基盤整備、にぎわいの創出、コミュニティー形成支援、備蓄倉庫等を各プロジェクトで取り入れ、社会に貢献していきたい。

 ――自治体等との連携は。
 山代社長 不動産開発は地元自治体との連携が重要で、地域の特色に合った建物を提供できるよう常に協議している。ビル建設前の計画段階で都市計画に沿った地域貢献をどう実現するかを協議し、リクエストに応える。例えば、劇場やホールの設置、ビル周辺の歩行者空間整備、駅ビルとの地上・地下通路の接続等で地域活性化や生活改善、コミュニティーづくりに貢献できる。
 一方的ではなく、ビジネスとして地域貢献することで容積やビルの高さの上積みを獲得し、賃貸するオフィスや商業施設のボリューム等を増やす許可を得ることでウィンウィンとなることもある。
 近年、特に求められるテーマは〝防災〟だ。災害に強い建物が第一義だが、災害発生時は、ビル低層部のアトリウムを開放し、避難される方々を収容できる防災拠点とし、水や毛布等を装備する備蓄倉庫等で要望に応える。
 アトリウムは平時には地域の情報などを発信し、災害時は地下鉄など公共交通の動き等の情報発信もできる。再開発事業は自治体だけでなく、地元住民の方々とまちづくり協議会などを立ち上げ、地域で何が必要かを話し合って進めている。

 ――グループの不動産事業の役割分担を教えてください。
 山代社長 持ち株の日本郵政がグループ全体の不動産の統括と方針を定め、日本郵便は郵便局等の不動産所有者(オーナー)として意思決定を行い、その受益を受ける立場となる。
 グループ不動産開発事業の実務を一元的に担うのが日本郵政不動産。日本郵便の保有資産を筆頭にグループ保有資産の不動産開発のほか、グループ外の建物や土地の取得、開発も行い、竣工後は安定的に管理運営をする。グループの利益を支えていくことが郵政不動産の役割だ。

 ――外部企業様から日本郵政グループに入られた印象を。
 山代社長 社員40万人の企業グループとして、社会に貢献するユニバーサルサービス維持は大変なことだが、不動産事業も一助になっていきたい。都内にも地方にも良い土地は多くある。承継資産の開発とともに、グループ外の建物や土地等の売り出しにアンテナを高く、不動産事業の裾野を広げることがわが社の使命だ。