インタビュー 全国郵便局長会 三神一朗理事

2022.12.21

 郵便局ネットワークの価値ある将来像に向けて地域創生・地方創生に懸命に取り組む姿を全国郵便局長会(末武晃会長/萩越ケ浜)の全特防災PT座長の三神一朗理事(関東地方会会長/昭和)に伺った。

災害時に勇んで駆け付ける誇り

 ――全特の防災PT座長として各地を回って感じられることは。
 三神理事 今年で7年目だが、年々、自然災害は増加傾向にあり、全国どこで何が起きてもおかしくないような状況だ。先日も、台風14号によって甚大な被害を受けた宮崎県延岡市内5局を、末武晃会長、森山真専務理事と共に回らせていただいた。
 5局のうち4局がいまだ復旧の途上で、2㍍も水没したという。ATMはもとより、OAフロアで床下に配線を収納しているため、電気系統が全て駄目になってしまった。
 2017(平成29)年の九州北部豪雨の際には、福岡県朝倉市のある局で浸水し、みるみるうちに水かさが増して避難することができなくなり、局長と社員さんがカウンターの上で一夜を明かしたということもあった。

 ――防災士資格を持つ局長の方々が全国で奮闘されています。
 三神理事 1万2000人強の局長が日本防災士会の各県支部に加入し、講習会や防災訓練を先導したり、地域の防災センター等の運営に参画したりと、さまざまに活動している。いざ災害が起これば勇んで駆け付けて泥をかき出し、機器を搬出し、局周辺のお宅の片付けも手伝う。献身の活動は誇らしく、称賛が寄せられている。

 ――各地の支援活動も活発ですね。
 三神理事 全特として消毒液やポリタンク等をストックしているが、各地方会でも備蓄品をそろえている。今夏、新潟県村上市は数十年に一度の豪雨に見舞われたが、ボランティアの方々のお弁当が傷まないようにと、下越南地区会(三條正昭会長/新潟南浜通)は冷蔵庫を購入し、ボランティアセンターに寄贈した。石川県小松市でも救援物資の一部をボランティアセンターや自治体に寄付。その他、つぶらなカボスの寄贈も喜ばれている。
 今後、首都直下や南海トラフ地震等が予想されるが、日頃の対策が最も重要だ。防災用品の準備をはじめ、人命を第一に考え、建物の耐震補強や棚等の転倒防止にも努めたい。

 ――自治体との連携が進んでいます。
 三神理事 関東では9割以上の自治体と包括連携協定を結んだ。包括事務や支所業務の一部を受託する局も拡大している。自治体と良好な関係を築いていくことは不可欠だ。
過疎地では支所を統廃合する動きがあり、付近の郵便局への支所業務委託を提案している。あわせて、支所の建物に局を移転する取り組みも推進している。今後は行政事務のアウトソーシングが増え、郵便局が一括して受託するような方向に進むのではないかと思う。

 ――千葉県睦沢町と連携した「ほしいも事業」は3期目を迎え、広がりを見せています。
 三神理事 睦沢局でのほしいも事業は、千葉県東南地区会(宗田義広会長/新治)が地元農家や生産組合と連携し、生産から販売までの体制を構築した。局長たちの中には米や野菜、果物などを作っている人も多く、農業ビジネスは今後の柱の一つになればと思う。耕作放棄地等を活用して農作物を作り、無人販売やふるさと小包のスキームを生かしていけば可能性は広がる。
 また、各地区会や部会では地域住民を巻き込んだ施策に積極的に取り組んでおり、グラウンド・ゴルフ大会やサッカー・野球教室、健康増進講座、体操教室、演芸会等盛んだ。局長たちは本当に真面目で一生懸命。地域のために奮闘している姿自体が郵便局のブランド価値を高めている。先輩方から脈々と受け継がれてきた「局長魂」を未来へ継承し、さらに地域を支えていきたい。