インタビュー 全国郵便局長会 宮下民也理事(九州地方会会長)

2022.03.24

 郵便局ネットワークの価値を地域創生とともに高めようと取り組む現場の状況等を全国郵便局長会(末武晃会長)の宮下民也理事(九州地方会会長/熊本西原)に伺った。

リアルさ武器に共創し、新産業を

 ――郵便局のお客さまを増やすためにはどうすべきでしょうか。
 宮下理事 人口減少が続いており、これまで通りでは足を運んでくださるお客さまは増えない。東京と北海道で先行する「終活紹介サービス」は、相続等の終活相談にとどまらず「何でも屋になること」と聞いて「なるほど」と思った。例えば家庭内の電球交換や住まい探しなど、郵便局が金融だけでなく生活全般を相談できる〝地域のよりどころ〟になるのが理想的だ。
 今の時代はネット検索すれば、どんな商品でも購入できるが、商品の良しあしは分からず、信用に値しないものも多いようだ。ネット購入はその商品の口コミを参考にすることが多いが、お金を払って口コミを書いてもらうことが横行しているようだ。
 信頼できる人に「これを買いたいが」と相談し、「使いやすいよ」「良い品よ」と確かめたいというニーズが高まっている。また、相談相手は「リアル」な存在であることも必要。リアルは人を安心させる。そう考えると、信用・信頼に足るリアルな相談相手は価値のある存在になる。
 今、求められているのはおそらくかゆいところに手が届くような商品・サービス。地域に信頼される郵便局が、そういった商品・サービスの紹介役になれば喜んでもらえるし、地公体と連携すれば行政サービスを含めた相談窓口として「地域創生」にもさらに貢献していける。少子高齢化が最も早く進むといわれる日本が、世界に先駆けて高齢化対応のビジネスモデルを創り、郵便局がその一役を担えれば、持ち味の公益性や地域性も生かしていける。

 ――地方創生の動きを教えてください。
 宮下理事 1年8カ月前の豪雨災害で大きな被害を受けた熊本県南部地区会(寺本猪一郎会長/緑川)が、総務省から講師を招き八代市で「地方創生セミナー」を開催した。その基調講演を聞き、高齢者が4割に達する社会に向け、郵便局も視点を変えなければならない岐路に立っていると認識した。
 熊本県南18市町村と九州支社(豊田康光支社長)は昨年、広域包括連携協定を締結したが、新鮮だったのは「産学官の連携」として学が加わったこと。熊本大学の教授は地方創生のために、地域発の植物研究を通じ新薬の開発に取り組まれている。地公体も他の市町村と連携し、新事業を生み出そうと呼び掛けている。
 熊本県水俣市には不動産会社が扱わない空き家が1000戸以上あり、民泊やシェアハウス等への活用が進められている。シャッター商店街だった宮崎県日南市の油津商店街が、外部人材も活用してIT企業など約30店舗を誘致しよみがえらせた「日南の奇跡」の話も有名だ。
 地域に密着する郵便局長が、地域づくりに励む方々と日頃から接触し、知恵や力をいただきながら社会に役に立つ事業を生み、支え、ネットワークを活用し広げていくことが大切だ。「共創プラットフォーム」の構築に郵便局長も重要な役目を果たせる。

 ――「郵便局長おすすめツアー」で健康アプリのポイント獲得を発案されたそうですが、デジタル化をどう見ていますか。
 宮下理事 社会のデジタル化に伴い、郵便局の役割も変わる。高齢者の方はテレビがお好き。テレビに加え町内会の回覧板などの地域情報等も視聴できるポータルサイトを郵便局が提供できれば理想的。GAFAのような一律広域のサービスではなく、地域に応じたデジタルサービスが求められている。それこそ郵便局長の出番だ。
 ワクチン接種証明書もマイナンバーカードでピピッと読み込む状況を見て「そこまで進んだか」と驚いた。郵便局が深く関わることができれば、点と点だった行政事務受託も多面的に役に立てるようになると思う。