「共創の未来へ」買い物支援①移動販売
「♪トントン音頭~」を響かせながら生鮮食品含む200~300品のコンビニ食材を載せた移動販売車(写真上)が、新潟県越後上田局(上村真也局長)から高齢化が進む地域に出発したのは2022(令和4)年7月。新潟県南魚沼市(林茂男市長)と信越支社(大曽根和之支社長)、郵便局物販サービス(荒若仁社長)、ローソン(竹増貞信社長)、スーパーはりまや(野口眞弘社長)との共創が実現。
買い物も〝拠点価値〟で勝負
コンビニ商品を載せる移動販売車はそれ以前に他地域でもあったが、特筆すべきは越後上田局の倉庫を〝配送拠点〟にした点。ローソンも他のコンビニも自社店舗以外に郵便局を物流拠点に使うケースは、その時点では初めてだった。
福岡県宮若市では23年9月から、グリーンコープによる移動販売車の買い物支援が長井鶴局(広門久美子局長)で始まった(写真上)。10月から磯光局(加来顕太局長)横でも始まり、毎週同じ曜日・時間に食料品と日用品を載せたワゴン車が到着。
広門局長は「近隣にスーパーがないため、冷凍食品を買われる方も多い。早めに局にいらして用事を済ませたお客さま同士が仲良くなって、局横でコミュニティ・ハブになっている」と話す。
一方、郵便取集車の余積スペースに荷物を載せ、配送ルートに即して地域内の郵便局まで安価に配送するぽすちょこ便。農産物等をほぼ当日中に差し出しと受け取りが完結できる画期的なアイデアの実現は23年9月の山形県鶴岡市内15局から始まった(写真上)。
地域内の配送コストが断然お得になるもので、日本郵便は28年をめどに全国約160地域での横展開や買い物支援の応用を目指すと発表した。
24年3月から、奈良県奈良市東部地域でぽすちょこ便とともに、複数の注文をまとめて配達することで配送コストを抑える共助型買い物サービス(おたがいマーケット:日本郵政グループ共創イニシアティブ第1号)をイオングループとの共創により実現。受け取り拠点を「月ヶ瀬ワーケーションルームONOONO」と須川局(安部伸也局長)の2カ所からスタートした。
商品注文はネットのみで月1650円(税込み)ほどかかるが、個別配送料がかからないことでトータルではお得。買い物に訪れた70代の女性は「ネット注文はお店や郵便局の人に教えてもらってやっているの」とうれしそうだった。
月ヶ瀬局の今井吉則局長は「ぽすちょこ便は野菜等の食材を奈良市役所内局(杉本雅彦局長)にも届けるようになり、生産者や飲食店の方々に喜ばれている。おたがいマーケットは市内から食料品等を山間地の郵便局やONOONOに届けられ、住民の方々の生活を守っている。開拓の余地はまだまだあると思う」と語る。
「ぽすちょこ便」×「おたがいマーケット」は24年10月から山形県山辺町でも試行され、同年11月から今年4月まで静岡市奥静地域でも実証が行われた。日本のどこに住んでも食生活が維持できるよう、郵便局の共創チャレンジは待ったなしで続けられている。