総務省「地域のお困りごと」に郵便局の力を
総務省の「地域のお困りごと解決に向けた郵便局等との懇談会」(川越)が9月25日、埼玉県のウェスタ川越で開かれた。9・10月に総務省が精力的に取り組む「行政相談月間」の一環として首都圏では初の開催。防災や外国人対応などで活発な意見を交わした。関東管区行政評価局の出井邦夫行政相談課長が司会を務めた。同懇談会は、9月18日に香川県高松市、10月22日に新潟県新潟市西区、11月11日に新潟県三条市でも行われ、各地で〝郵便局長の地域力〟が一層求められる現状が浮き彫りになってきた。
首都圏初 行政相談委員×埼玉県西部地区
川越市での同懇談会では、関東甲信越1都9県を担当する関東管区行政評価局の水野靖久局長(写真上)が「総務省は『郵便局を活用した地方活性化方策検討PT』を立ち上げ、さまざまな検討を重ねてきた。本日は首都圏初の『地域のお困りごと解決に向けた郵便局等との懇談会』。行政の効率アップを目指す」と強調した。
川越市の川合善明市長(写真上)は「市民の潜在的な困りごとをいかにくみ取るかが大切。地域課題解決に郵便局と連携したい」と述べた。
川越・富士見・ふじみ野・坂戸・鶴ヶ島の5市と三芳・川島・鳩山・毛呂山・越生の5町内エリマネ64局を統括する埼玉県西部地区連絡会の野口浩之統括局長(写真上、西坂戸三)は「人口減少や少子高齢化、デジタル化が加速する中、郵便局は地域の安心・安全の拠点として寄り添うサービスを展開。川越市とは2017(平成29)年に包括連携協定を締結し、防災や見守り等を協力中。さらにお役に立てるよう取り組みたい」と意欲を示した。
埼玉行政相談委員協議会の河本令子会長(写真上)は「本日は郵便局と連携するチャンス」と喜びを見せた。川越月吉局の中村吉宏局長は「川越いもの子作業所(社会福祉施設)が作っているはがきを販売する場がないと作業所の方々に聞き、支社にも相談し、地区全局で販売できるようになった。町おこしのお役に立ちたい」と語った。
川越砂局の柳沼正博局長は「地域内には高齢者の方が非常に増え、認知症の方が週に1~2人は来局され、地域包括ケアセンターの方に至急連絡を取るのが日常茶飯事になってきた」と報告した。
川越局の山田貴文総務部長は「災害時には避難者動向確認シートを市と共有。道路の損傷や危険家屋など外国人の方にも情報提供している」と説明した。
松本英藏行政相談委員は「郵便局は、信頼のある豊富な人材を備えた組織力があり、住民が日常的に利用する場。郵便局が見聞きした住民の困りごとを行政相談につなげる新しい仕組みができれば有益になる」と意気込んだ。
意見交換では、川越市の粟生田晃一危機管理監が「災害時にいかに避難誘導できるかが課題。地域の各団体に安否確認や避難支援を依頼しているが、支援者もどんどん高齢化し、要支援者とのマッチングができない状況。郵便局とも連携させていただきたい」と要望した。
郵便局側から「ハザードマップの各局設置」「市内279カ所ある郵便ポストに避難場所QRコード貼付」等、行政相談委員から「各局に飲料水と食料3日分の備蓄」「災害時も通話可能な衛星電話の局配置」「災害時の特設相談所の局スペース開設と外国人対応」等の提案があった。