生きる!地域と 福井県小浜市 口名田局

2023.08.16

 山間部や農村部をはじめ、来局者が日に一桁という局は少なくない。人口約1600人、緑豊かな福井県小浜市口名田地区の口名田局(落谷敏夫局長)には、1日100円ずつ貯金する「桃の実貯金」の会員が毎日20人ほど足しげく通い、にぎやかな笑い声が飛び交っている。(写真右から落谷局長、鳥左近由美さん、藤原はるみさん)

「100円貯金」日々来局で心身健康に


 1998(平成10)年4月から、健康維持の一助にと始まった「桃の実貯金」。専用台紙に1日1回、ラジオ体操のようにスタンプを押してもらい、100個たまれば記念品が贈られる。
 
 当初から会員となった山本實さん(下の写真㊨)は御年97歳。25年間ほぼ毎日通い続け、7月5日には通算6000回を達成し、落谷局長から認定証を受け取った。「おかげさまで元気。足が動く限り、続けたい」と誇らしげだ。

開始25年、6000回達成の97歳も

 落谷局長は「会員数は約40人。同時間帯に来られる方も多く、皆さん、会話を楽しまれている。店頭の商品を買われる方も多く、貯金・保険をはじめ、スマートフォンの設定や操作方法などの相談も受けるなど〝よろず相談所〟のよう」と、やりがいをにじませる。
 同局ロビーには大きなテーブルとイスが置かれており、コロナ禍以前はお客さま自身がお茶を入れ、お菓子を持ち寄って談笑していたという。本棚の蔵書も豊富で、児童用の遊具も設置されており、地域のサロン的な役割も果たしてきた。

 通算4600回以上という大澤みや子さんは「先々代の局長時代から、日課というか毎日のけじめみたいになっているの。いろいろ話を聞いてくれて、郵便局に来ると、心が和むわ」とほほ笑む。
 落谷局長は「以前は市内で最も来局者数の多い局にいたが、昨年4月に生まれ育った口名田に戻ってきて、郵便局は改めて生活の拠点だと実感している。日々、足を運んでいただく地域の皆さまの生活を、より豊かにできるよう尽くしていきたい」と思いを明かす。

 郵便局に来れば、健康になる。笑顔になる。気心の知れた仲間がいる。困った事があれば何でも相談できる。リアルな郵便局の存在価値は、時代が変わっても、決して色あせることはないに違いない。
 「桃の実貯金」は各地でも同趣旨の施策が行われており、福井県南部地区連絡会(宇野憲二主幹統括局長/三方)内では、杉津局(木下晴央局長)、小浜住吉局(西岡慎祐局長)でも実施されている。