総務省 郵便バイクで水道検針
郵便バイクに無線通信機を装備して配達しながら自動で水道メーターを検針する全国初の総務省実証事業が、東北支社(小野木喜惠子支社長)管内の青森中央局(高橋芳雄局長)で10月に行われた。検針員の人手不足や冬場に検針が難しい豪雪地の課題解決を目指す。
日本郵便×青森市 全国初の実証
青森市内のうち約200世帯に設置されたスマート水道メーターから、検針情報を郵便バイクで受信する「ドライブ・バイを活用した配達車両による寒冷地でのスマート水道検針」は、総務省の「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」の一環。自治体と全国2万4000局が連携し、デジタル技術を活用して地域課題解決のモデル創出を目指す。
10月1日に青森市役所本庁舎で開催された実証開始セレモニーで、PwCコンサルティング合弁会社の上瀬剛執行役員は「水道検針業務の担い手不足は全国的な課題。寒冷地は積雪により見積もり推量での料金収受も多い。郵便車両で検針値を受信することで地域課題を解決できる」と強調した。
検針人手不足や寒冷地の課題解決
総務省東北総合通信局の藤田和重局長(写真上)は「市は水道メーター検針員が手作業で検針していた。実証は、水道メーターから使用量データを無線で送信し、近くを走る配達バイクが受信する仕組みの有用性を検証する。実装や横展開を祈念する」と説明した。
青森市の西秀記市長(写真上)は「わが市は県庁所在地として全国で唯一、全域が特別豪雪地帯に指定される多雪都市。実証は意義深く、同じ課題を抱える寒冷地や検針業務不足の課題解決につながる。郵便局ネットワークの可能性に期待したい」と信頼を寄せた。
東北支社の小野木喜惠子支社長(写真上)は「青森市とは2021(令和3)年に包括連携協定を締結。毎年元日に真っ白な雪の中に真っ赤なバイクが出発する様子は輝いている。社員一同力を合わせ、地域のお役に立つ活動を続けたい。実証が成功し、全国への発信を願う」と感謝の意を表した。
通信親機の名称はRFマスター。郵便バイクにも軽四輪等にも搭載でき、運転手はスイッチを入れてアプリを開けたまま通常通り走行し、水道検針メーターに100㍍ほど近づくと自動検針。局に戻り、スマートフォンで操作すると、検針値がクラウドに上がり、郵便局と市はデータを共有できる。手作業と比較し、時間は約9割軽減。機器費用は約5倍かかるが、普及すれば価格は下がることが見込まれる。
手作業による検針では、漏水等が発生してもそのままになるリスクを抱えていたが、今回の実証では漏水はデータから読み取れる。日本初の実証になるが、世界的には途上国中心にスマートメーターは2000万台以上の実績がある。