総務省「郵政グローバル戦略タスクフォース」

2024.09.04

 総務省が主催し、郵政関係の有識者で構成される「郵政グローバル戦略タスクフォース」(三友仁志座長/早稲田大学大学院教授)は7月1日、昨年12月から6回の議論をまとめた。政府のタスクフォースは他省庁にも多く存在するが、郵政分野のグローバル戦略をテーマとするものとしては国内初。 デジタル化や少子高齢化・人口減少などが進む中、郵政事業の国際部門と国内部門が相互理解を深めながら忌憚なく意見を交わし合う意味で初の試みとなった。
 例えば、世界的に見て過疎化が先行する日本での郵便局のオンライン診療や自治体事務受託等も国際的に一つのモデルになり得るとの意見も共有。今後、グローバル・ビジネス展開に向けて「郵政グローバル戦略チーム会合(仮称)」の立ち上げも提案されている。

郵政分野における国内外の連携を促進し日本の強みを世界へ

 「郵政グローバル戦略タスクフォース」の8人の構成員にはJPデジタルの飯田恭久CEO、日本郵便の五味儀裕執行役員なども入り、オブザーバー3人の中に日本郵便国際郵便事業部の高地晴子部長、UPUの長谷川哲雄課長も参加している。
 日本はこれまで「日本型インフラシステムの海外展開」、「UPUへの世界最高レベルの分担拠出国」として世界の郵便分野での災害対策や郵便ネットワークの改善等に貢献。
 日本郵便は諸外国の郵便事業体にコンサルティング契約の締結やUPUプロジェクトなどを通じた技術指導も行ってきたが、総務省と日本郵便において国際部門と国内部門の連携を改善すれば、海外の優良事例が共有され、国内業務にも資するとして議論が進められた。

 議題は①海外の郵政事業の現状、課題と最近の動向②郵政事業に係るグローバルな課題と取り組み③世界情勢・海外動向を踏まえた関係者連携の在り方④多国間・二国間の戦略的グローバル対応の在り方等――の4点。議論で出された意見は今後、総務省情報流通行政局郵政行政部長の行政上の参考とされる。
 協議では、今後のグローバル・ビジネス展開にあたり、日本郵便はじめ郵政関連のグローバル・ビジネスに関心を持つ日本企業とJICT(㈱海外通信・放送・郵政事業支援機構)などで「郵政グローバル戦略チーム会合(仮称)」を立ち上げ、構成員同士の連携強化やシナジー・プロジェクトの形成、UPU活用戦略の検討、などに取り組むなどの意見も出された。
 また、「ビジネス展開に資するUPUの能動的・戦略的活用」として、UPUが保有するさまざまなビッグデータを活用した新ビジネス展開に向けて総務省と日本郵便がUPU事務局との連携を強化し、日本企業もビジネスチャンス把握のため、UPU事務局に積極的にアプローチし、どの国に何を売り込むか明確化すべきとの意見もあった。
 官民でのニーズをマッチさせるために、政府間の覚書を交わし、二国間プロジェクトの形にすることも提案された。さらに、「郵便局アプリを通じた一体的なサービス(ゆうID)」も将来的には海外展開の検討も必要とする指摘もなされた。