タブレットで町と住民つなぐ 郵便局でお気軽相談
九州支社(久田雅嗣支社長)と熊本県御船町は1月9日、七滝局(楠田優子局長)と御船上野局(髙松克有局長)にタブレット端末を設置し、ビデオ画面を通じて町民と町をつなぎ、相談を支援する業務を開始した。栃木県日光市に次ぐ全国第2弾。町の〝お伺い行政〟を実現する方策として2局の局長が約2年間掛け合い、実現に至った。熊本県中部地区連絡会の宮下民也主幹統括局長(全特理事/熊本西原)も後押しした。総務省の「自治体フロントヤード改革」には、「郵便局等でリモート相談」「オンライン申請サポート」が盛り込まれ、鹿児島県瀬戸内町が「郵便局への委託等で三つの有人離島での行政サービス」のモデル自治体に選ばれている。
〝お伺い行政〟に 局長らの提案実現
住民が郵便局にいながら遠い役場に直接相談できる新たな業務は、相談者が局窓口で申し出れば、局長や社員が接続操作もサポート。タブレット端末で町の担当者につなぎ、相談事に応じて各部署につながれる。ヘッドホンや個室も用意され、相談内容が外に漏れないよう配慮されている。自治体と局窓口のタブレット連携は日光市に次ぎ、全国2番目になるが、行政窓口案内業務(バーチャル窓口)をメインとする受託としては全国で初めて。
全国初 バーチャル窓口メインの受託
御船町総務課の嶋﨑美輪係長は「コロナ禍で定額給付金手続きを公民館等で行うことになった時、役場から地域に出向き、地域の方々の声を聞く〝お伺い行政〟がスタートした。町の7割を占める山間部は距離もあり、1日にバスは数本。そうした方々が集まる場所は年金受給等がある郵便局。局長の皆さまから『タブレットを局に置くことで、オンライン相談でお伺い行政の形を作れませんか』と提案いただいた」と振り返る。
髙松局長㊧と楠田局長
七滝局の楠田局長は「2年ほど前から御船上野局の髙松局長らと共に町に掛け合ってきたが、予算等のこともあってようやく実現できた。電話相談は顔が見えず状況が分かりにくい。タブレットは顔が見えることで安心できる」と話す。
髙松局長は「高齢者の方の免許返納も推進しなければならず、町にその受け皿としても検討いただいた」と語る。郵便局への委託料を含む町の事業費は年約50万円。2局には2月1日からキオスク端末(セルフ型)も導入された。
松本剛明総務大臣は1月20日の記者会見で「自治体と住民との接点としての『フロントヤード改革』を推進するためのモデルプロジェクトを創設した」と発表。同日の会見で君塚明宏行政経営支援室長は内容について、「身近な窓口で行政サービスを受けられるようにする意味。郵便局からリモート相談できて本庁とつながることは非常に有効な取り組み」と強調した。