都と郵便局、共にSDGs達成へ

2022.11.11

 日本郵便と東京都は10月12日、包括連携協定(ワイドコラボ協定)を締結した。都が物流企業や銀行機能を持つ企業グループとワイド協定を結ぶのは初めて。郵便局ネットワークを生かし、日本郵政グループ「JPビジョン2025」と都のビジョン「未来の東京戦略」とを掛け合わせつつ、SDGs達成と都民サービス向上を目指す。締結式で小池百合子知事は「日本郵便のEV車の先導的な導入」に感謝の意を表し、防災含めて幅広な協力に期待を寄せた。衣川和秀社長は「非常に意義深い締結。『未来の東京戦略』実現に向け、郵便局が〝共創〟させていただきたい」と意欲を示した。

(右から)小池知事、衣川社長、木下支社長、日本郵便の中井幹晴執行役員、福嶋会長

ワイドコラボ協定、物流・銀行と初

 日本で最初にCO2排出量取引制度(CO2排出量に上限枠を設定し、事業者同士の売買により低炭素社会を促す)を導入した東京都は、2050年カーボンニュートラルの目標に向けてSDGsターゲット年の2030(令和12)年に2000年比50%削減を目指しているが、エネルギー不足も深刻化。さまざまな課題が押し寄せている。ワイドコラボ協定は①環境②スポーツ③子育て・高齢者支援④防災・減災⑤ライフ・ワーク・バランス、多様な働き方⑥地域の安全・安心⑦地域社会の活性化と都民サービス向上――を柱とする。

2030年へ環境や防災、幅広に〝共創〟

 小池百合子知事は「認知症サポーターの要請や防災リーダーの登録なども含めて幅広くお願いをしたい」とも強調。
 衣川社長は「共創プラットフォームは郵便局ネットワークと地域の皆さまや企業の方々と一緒に利便性を高めるもの。すでに都内の配達車両2640台にCO2削減啓発のHIPステッカーも添付し、道路損傷情報やお子さまの郵便局見学もやらせていただいている。締結を機に『Cliear Skyサポーター制度』(大気汚染原因物質削減の事業者登録)や島しょ振興の協力もさせていただきたい」と語った。

都議会への要望が風穴を


 ――締結に至った経緯を教えてください。

 福嶋会長 都知事との接点を見つけることが難しい課題だったが、5年前に都議会自民党に、はこぽすやOKIPPAの導入、都営団地内に郵便局立地を要望した。その後も毎年要望を出し続ける中で昨年、予算ではない包括連携を要望したところ、伊藤祥広先生中心に動いてくださり、風穴が開いた。
 その後、東京支社(木下範子支社長)総務部地方創生・みまもり担当の青木孝之担当部長が根気よく関わってくださった。須田孝之副会長(新大久保駅前)も2回、都とプレゼンテーションを行い、頑張ってくれた。
 都とは定例的に打ち合わせする。配達の四輪や二輪のEV化の前倒し、打ち水など、CO2削減策は早めに動きだす可能性もある。公益性とともに収益性も考えなければならない。
 ――八王子市内局にもキオスク端末が入るとのことですが。
 福嶋会長 八王子市は予算執行の議会で承認が下り、来年2月、3局に1台ずつ入る予定。東京では町田市が初めて郵便局に設置するキオスク端末を購入し、八王子市も続く。
キオスク端末はマイナンバーカードを持っていないと手続きができないため、カード普及にも寄与できる。マイナカードは郵便局にとって鍵になる。ピッと読み込み、本人確認やさまざまな取引が時間をかけずにできるようになっていくと思う。