日本郵便 2022年3月期第1四半期決算

2021.10.07

 日本郵便の第1四半期決算は減収増益。営業収益は4月から始まった収益認識基準の適用に伴い、一部取引が総額ベースから純額ベースに変更となった影響等で、前年同期に比べて235億円減(2.5%減)となった。

純利益おおむね2倍に

 営業費用は豪トール社のロジスティクス事業アジア部門における大口取り扱いが減少したことのほか、郵便・物流事業におけるコストコントロールの取り組み等により399億円減少。
 郵便局窓口事業は減益となったが、国際物流事業と郵便・物流事業の増益で営業利益を368億円(同80.1%増)、経常利益を345億円(同79.9%増)生み出し、純利益は326億円(同95.8%増)と前年同期比で概ね2倍の利益を計上した。
 郵便・物流事業は減収増益。前年同期に目立った巣ごもり消費増の反動を受け、主力のゆうパック(ゆうパケット含む)が同13.8%減(ゆうパケットは22.7%減)となった。
 一方、大口顧客が差し出しを開始したこと等で同2.6%増となったゆうメールや、引受再開に伴う国際郵便増で、郵便物総取扱数量は45億4900万通(同0.7%減)とほぼ横ばい。全体の減少幅を大きく縮め、コストコントロールとあわせて営業利益は203億円(同31.9%増)と増益となった。
 郵便局窓口事業は減収減益。受託手数料が三事業で同52億円減少(保険手数料同29億円減、銀行手数料同16億円減、郵便手数料同6億円減)したが、銀行手数料と保険手数料は前年同期より減り幅は改善している。
 その他収益のうち、物販事業の収益が収益認識基準の適用により減少し、提携金融事業も20億円(同30.6%減)とやや苦戦気味。唯一、不動産事業が77億円(同6.3%増)と増収となったが、営業利益は113億円(同22.9%減)となった。国際物流事業は減収増益。営業損益が前年同期比1億9300万豪㌦増となり、7700万豪㌦の黒字に転換した。
 事業別の営業損益はロジスティクス事業(輸送・倉庫管理や資源・政府分野の物流等サービス)では大口取扱が減少したが、不採算の米国部門を閉鎖した影響もあり700万豪㌦増益、フォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随して発生する専門業務)も貨物取扱量増と拠点統廃合で2500万豪㌦の増益(黒字転換)。
 エクスプレス事業(速達便や貨物輸送サービス)はサイバー攻撃に伴う取引激減解消を主因に赤字幅を9400万豪㌦改善した。
 日本郵便の三田彰子経理・財務部長は「米国宛てEMS再開等も国際郵便の増収に影響した。国内の荷物は巣ごもり消費増の反動もあり厳しい状況だが、ゆうパケットポスト発送用シール促進や楽天グループとの連携等で、ゆうパック10億8000万個を目指していく」と強調した。