簡易局改革に本腰 日本郵便PT始動
全国簡易郵便局連合会と(一社)全国簡易郵便局協会は2024(令和6)年度総会を6月8・9日に東京都内で開催した。全簡連総会で山口博文会長は「一時閉鎖局が急増する中、意見要望を実現していく」と意欲を示した。来賓の千田哲也日本郵便社長、全簡連顧問の柘植芳文外務副大臣、長谷川英晴参議院議員が励ましを送った。
新たな行動憲章制定へ 全簡連・全簡協総会
山口会長は5月23、24日に訪問した能登半島被災地の状況について報告。「被災した簡易局の局舎新築や再開に向けて、受託者の皆さんの相談・支援を行い、災害支援対策を進めていく」と強調した。
また、「本年は簡易局誕生から75年の節目の年。課題解決に向き合う年だ。5月9日には日本郵便に緊急要請書を提出し、昨年以上の手数料の基本額アップを要望した」と述べた。
今年1月から3月にかけて、日本郵便の支社単位で開催した簡易局長と会社幹部との意見交換会については、①日本郵便の施策にも協力して取り組んでいく②コンプライアンスの徹底③地域社会の期待に応えていく――の重要性に言及。「新たな行動憲章を制定する議案を提出する」と意思を表明した。
川畑俊夫副会長は能登半島地震への会員からの義援金約2284万円について報告。木原茂専務理事は今年度の事業計画等を説明した。全簡連の役員が改選され、新体制で出発した。
課題を徹底的に全て直す 千田日本郵便社長
簡易局のネットワークを守り、改革をしていかなくてはいけない。先頃、簡易局改革プロジェクトチームを立ち上げ、6月5日に第1回の会議を開催した。働かれている受託者の方を守り、会社を守り、お客さまも守る。おかしいところは徹底的に全て直していく。
10月をめどに第1弾の計画を動かし、課題をしっかり洗い出していく。ゆうちょ銀行やかんぽ生命とも一緒に考えていく。暫定的にでも、直せるものはどんどん直していく。2、3年はかかると思うが、簡易局の皆さまが本当に安心して働いていただける環境をつくっていきたい。
5月に、愛媛県松山市の簡易局を訪問させていただいた。お一人でやっており、「お休みはどのように?」と伺うと、9年間、窓口を閉めたことがないと言われた。その使命感たるやすさまじいが、これでは駄目だ。働く方を守っていく体制や、デジタルの力を活用したDXを実現できるよう〝見える化〟をしながら、改革を進めていきたい。
地域支える〝毛細血管〟 柘植外務副大臣
全簡連の置かれている立場、皆さま方の置かれている立場は郵政事業だけではなく、地域づくりにおいても必要。皆さん方の頑張りによってユニバーサルサービスが提供され、地元に金融機関が存在していることが、どれだけ多くの国民の皆さま方に安心感を与えていることか。日本の地域社会における最先端の毛細血管のような形で、一番大事なところ。
今、600局もの一時閉鎖局があるが、このまま閉局となってしまったら、日本にとって大変大きな問題だ。しかし、郵政事業には夢と未来がある。皆さま方のやっていることが高く評価される時代が必ず来る。そのためにも、一生懸命頑張ってまいりたい。
簡易局に広範な役割を 長谷川参議院議員
簡易局は直営局よりもさまざまなことがやりやすい環境にあると思う。例えば、宿泊施設を備えた局、JRの駅業務と一体運営局、証券会社の営業所に併設された局など。郵便局がもっと自由に広範な事業を行えるような法律体系にする必要がある。
郵便局は過疎地域の活性化にもっと貢献できる。地域の活性化へ、観光資源である特産品などを、郵便局ネットワークを通じて広く全国に知らせることもできる。そうした役割を果たすことで、一定程度のお金が郵便局に落ちるような仕組みを検討してもいい。
「郵便局に残ってほしい、もっと大きな役割を果たしてほしい」というのが国民の意向ならば、「では、どのようにして、それを担保してくれるのですか」と堂々と言っていいと思う。