窓口弾力化の地域事情もろもろ

2024.04.06

 2021(令和3)年から試行が始まった窓口時間帯など工夫を凝らす「窓口弾力化」の取り組みはその後、どうなったのだろうか。取材すると、さまざまな地域性も見えてきた。

神奈川県・ジアウトレット湘南平塚内局

 年中無休のイオン系巨大モール内に局が入るケースが増える中、神奈川県ジアウトレット湘南平塚内局(金井英彦局長、写真上)は昨年4月の施設開業に合わせて開局。営業は10時~18時で、年末年始以外は窓口を開け(土日は郵便のみ)、部会内で応援態勢を組む中、局長と6名の社員が団結して運営してきた。
 アウトレット内の局は東日本初。FMラジオ出演やファミリー層向けのワークショップなどを周知してきた。明るい木目調の局内にはキッズコーナーを設け、値段が高めなぽすくまグッズの売れ行きも上々。3月の土曜日には金融相談会を開催予定だ。
 金井局長は「若い世代や、18時まで営業することで会社勤務の方もよく利用いただく。遠方からのお客さまに金融商品をご案内し、〝地元の局でぜひ〟とつなぐアンテナショップ的な役割も果たしている。施設内約150店舗とのつながりも一つの〝地域〟だ」と笑顔で語る。

愛媛県・戸島局

 愛媛県宇和島市は3月5日、「スマートスピーカーを活用した『高齢者見守り・オンライン診療』」で「Digi田甲子園2023」内閣総理大臣賞(審査委員会選考枠)を受賞した自治体。その一環で、スマートスピーカーが設置された戸島診療所に隣接するのが戸島局(吉田昌央局長)。
 
 戸島局は市内で唯一の窓口弾力化対象局として、郵便窓口を16時に閉めている。約200人が暮らす離島・戸島はスーパーも商店もなく、金融は漁協がメイン。農協は金融を撤廃し、食料品や日用品を販売する。
 住民の方々は農協で購入したり、船で市内に買い出しに出たりするか、週1回訪れる生協に紙で注文書を出している。吉田局長(写真上)は「窓口を閉めた後の時間帯は研修や勉強に充てている。不便という話は聞いていない。ただ、今後、お客さまを増やすために、局でもう少し何か販売できるようになっていきたい」と希望を持っている。

沖縄県・伊原間局


 沖縄県内は、石垣市にある伊原間局(新垣君枝局長、写真上)1局のみが、11時30分から12時30分まで郵便・金融窓口を休止している。人口の少ない地域に位置するため、実施前から近隣住民への周知を徹底し、無駄足を踏ませないようにしたことが幸いし、不満の声はなかった。
 窓口弾力化の導入により、2名局の性質上避けられない一人対応の時間がなくなり、窓口サービスを安定して提供できるようになった。新垣局長は「休憩が十分取れるとともに別の業務を行う時間が増え、精神面で楽になった」と話す。
 一方で、11時30分直前の来客により、入り口は閉鎖するがお客さま対応は継続するため、社員の休憩時間をずらすこともある。「休止時間の幅を広げるなど見直しを行うことで、休憩時間とその他業務の時間が確保できれば、常時2名でお客さま対応ができる」と改善の余地も語っている。