生きる!地域と 島根県飯南町 図書館と連携「本とまごころ」配送

2024.04.03

 島根県飯南町内の郵便局と町立図書館(渡邊陽子館長)が連携し、来館が難しい高齢の方のニーズに応えて本をゆうパックで配送する施策が2月から始まった。その名も「『本とまごころ』配送サービス」。返却時は郵便局への電話一本で集配社員さんが自宅に伺う。同町と一体で進める多彩な取り組みについて、関係者に話を伺った(写真上は飯南町立中央図書館)。

お届け・集荷時に声かけ、みまもりも


 約2年の協議を経て始まった今回の施策。事前に利用者の好きなジャンルや作家をアンケートで聞いて図書館職員が本を選び、郵便局員が来館して引き受け、翌日お届けする仕組み。その際、利用者の方の顔を直接見て声かけを行い、安否確認などもできるため、「みまもり」にも通じるサービスとなっている。

宮川主事㊧と渡邊館長

 町教育委員会の宮川笙子主事は「ただ本を送るのではなくて、心を届け、真心を込めることを大事にしたい。利用者の方からは御礼の言葉もいただいた」と笑みを浮かべる。
 渡邊館長は「図書館登録をされている方は町民の3割弱。周知にもつながり、図書館としても大変うれしいサービス。集配の方がカウンターまで来られて、利用者宅まで丁寧にお届けいただき、郵便局には本当にお世話になっている」と喜びを見せる。

 郵便局側の中心者・谷口忠局長(頓原)は「中国支社(指宿一郎支社長)とも連携する中、飯南町との『まちづくり協議会』で提案された本施策を安部亮郵便・物販副統括局長(来島)や町内局長と共に、教育委員会・図書館・島根営業統括本部・松江中央局の関係者を交えて、より良い施策となるよう提案も行いながら協議を進めてきた。主幹の教育委員会が定めた『人と人、人と本の出会いを広げよう』との理念を受けて協議を加速させ、実施の運びとなった。3月末までの試行を経て、ゆくゆくは子育て世代への絵本の貸し出しなどにも広げられたら」と意欲を示す。
 まちづくり協議会には、島根県出雲西部地区連絡会(四方田伸也統括局長/出雲大津)雲南第二部会(江角智部会長/波多)の飯南町内5局の局長が参加し、統括・副統括局長・部会長らも加わる中、各種施策が実現した。

 地公体担当の永井正智局長(谷)は「ふるさと応援ゆうパックや元気回復券(商品券)、灯油券、地域通貨「い〜にゃんpay」カードなどの発送、マイナンバーカード申請支援も全て郵便局が請け負ってきた。昨夏からは、おむつやミルクなどの子育て用品を調達から荷造り、配送までを引き受ける事業も受託。私自身も町防災士連絡会副会長をさせていただいている」と話す。

 町も安心してさまざまな事業を託し、郵便局側も信頼をいただいたからにはと、懸命に取り組む。まさに、郵便局はなくてはならない存在となっている。
 谷口局長は「先輩局長方の脈々たるご努力によって、我々も引き継がせていただいている。だからこそ、我々もまた後世につないでいかなくてはとの責任、思いでいっぱい」との決意にあふれていた。