生きる!地域と 北海道石狩市

2023.06.28

 郵便局と図書館の連携施策が北海道で始まっている。石狩地区連絡会(佐々木俊哉統括局長/千歳駅前)の石狩部会(伊藤好美部会長/石狩花川南一条)13局と石狩局(田村真一局長)は4月から、石狩市民図書館(写真、伊藤学志館長)が所蔵から外した図書を各局に五十数冊を置いて貸し出す取り組みを開始し、市民から好評を博している。

市民図書館の除籍本を14局に設置

 局の空きスペースに設置された「石狩市民図書館コーナー」には、小説やエッセー、絵本、料理本などがそろう。同図書館司書の吉岡律子主任(写真㊨)は「本はジャンルごとのバランスを見て選定している。これまで、図書館で開催してきた『科学の祭典』で郵便局ブースを出展していただいたこともあり、ぜひ郵便局にお願いしたいと思った」と振り返る。

 郵便局側の窓口を務める伊藤部会長(同㊧)は「市民の皆さんの利便性の向上になればと始めたが、お客さまにも図書館の皆さんにも喜んでいただき、うれしい限り。貸出手続きはなく、持ち帰りも自由だがほとんど皆さん返却される。今後は本のリクエストもアンケートで聞いてみたい」と意欲を示す。

 30万冊の所蔵を誇る同図書館は2000(平成12)年に開館。実はそれ以前、市内に図書館はなかった。市民の熱い思いが結晶した〝市民図書館〟は貸出冊数の制限がなく、市民以外でも借りることができ、喫茶コーナーでの野菜販売も人気だ。

 3カ所の分館と開放学校図書館もあるが、南北約70㌔の市内では冬期間、近隣の分館へ行くのも困難な住民もおり、身近な郵便局の図書館コーナーに喜びの声が広がっている。
 吉岡主任は「毎年数千冊の本を除籍して利用者に提供してきたが、郵便局に設置することで広範囲な市民の皆さんに本を手に取っていただけるチャンスが広がる。本は入れ替えをしながらやっていきたい」とニッコリ。

 伊藤館長(写真上)は「郵便局は地域に網羅されている〝拠点〟。郵便局と連携することで、市民が図書館の取り組みを身近に感じていただくきっかけにもなるので大変ありがたい」と大きな期待を寄せる。

局舎廃材ベンチ寄贈でSDGs貢献

 同地区連絡会では以前にも、支笏湖局が震災被害で廃局する際、その廃材を使用したベンチを製作して支笏洞爺国立公園に寄贈するなど、SDGs貢献の取り組みを進めてきた。
 伊藤部会長は「地域のために郵便局が力になれることは何でもやりたい。図書館コーナーを皮切りに、住民の皆さんにさらに喜んでいただけるよう取り組みたい」と思いを語る。
 市民と共に歩む郵便局と図書館の親和性は高い。今後も北海道をはじめ、全国での横展開が期待できそうだ。