新春インタビュー 日本郵政 増田寬也社長

2022.01.07

 ――リアルとデジタルを融合した日本郵政グループ、郵便局の形が本格的に進んでいるようですが、今後の展開は。
 増田社長 日本郵政グループ中期経営計画「JPビジョン2025」で明記しているが、日本郵政グループはお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指しており、そのための取り組みとして、グループ一体となってDX施策を推進している。グループの強みであるリアルの郵便局ネットワークと「デジタル郵便局」を融合することで、幅広く地域のお客さまへ〝新しい価値〟を提供していく。

「リアル×デジタル」で2025へGO!

 その中でもデジタル郵便局は成長戦略のコア。最重要の施策と位置付けている。お客さまに対して24時間365日、いつでもどこでも郵便局サービスをご提供すると同時に、新たな価値を創造するためのプラットフォームになる。デジタル郵便局を早期に立ち上げてサービスインを実現する推進部隊として、2021(令和3)年7月1日に日本郵政とは別の法人格としてJPデジタルを設立し、8月から営業が開始した。
 同社はグループ各社と具体的な施策の実施に向けた検討、調整を行うとともに、デジタル郵便局の実現をはじめとするグループDX戦略の実行支援チームとして組織と人材の充実を図っており、中期経営計画「JPビジョン2025」で掲げたグループ横断的なDX施策の実行部隊として施策を推進し、デジタル郵便局の早期実現に向けた取り組みを進めている。

 ――地方創生に郵便局をさらに生かすためにはどうすればよいとお考えですか。
 増田社長 郵便局は全国津々浦々に広がる郵便局ネットワークを通じ、郵便・貯金・保険の三事業をあまねく全国のお客さまに提供するとともに、地方公共団体から受託した住民票の写し等の公的証明書交付事務やプレミアム付商品券の販売事務など各地域のお役に立てるサービスを提供している。
 最近では、タブレットを郵便局の窓口に有償で設置し、地域住民がテレビ電話を通じて地方公共団体の職員への行政相談や、郵便局に有償で設置した各種証明書等発行申請用パソコンを使用した新型コロナウイルスワクチン接種予約を郵便局社員が代行入力する事務も新たに受託している。
インターネットなどのデジタルに慣れていない高齢者の方を含め、あらゆる人にデジタルを利用できる環境の確保と共に、地公体以外の場所でも行政サービスの提供が可能となり住民利便の増進に資するものだ。
 また、法律の改正(地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律〈2001(平成13)年法律第120号〉)により、マイナンバーカードの電子証明書関連事務をはじめ、転出届の受け付け・転出証明書の引き渡し、印鑑登録の廃止申請の受け付けの取り扱いが可能となった。
 加えて、マイナンバ―カードの普及促進は国の最重要課題の一つとして認識しているところであり、今後は多くの郵便局で取り扱うことでマイナンバーカードの普及促進に貢献したいと考えている。
 郵便局が取り組む地方創生は、お客さまや地域からの信頼に基づき、三事業の枠にとどまらない。地公体からの事務受託のほか、支所や出張所の廃止に伴い郵便局に出張所等の機能を設置する取り組みや、郵便局に地域住民の「活動」の場としてのコミュニティーラウンジを設置している。
 また、地元商店の閉店等により地域で買い物に困る住民の方の支援として、自治体や地元企業と協業して、地域住民の利用頻度が高くニーズの高い日用品や食料品を、郵便局の店頭に陳列して販売するなども実施しており、地域やお客さまのニーズに応じた多種多様なサービスを提供している。
 今後も自治体、特に地方公共団体と連携しながら、地域の状況に応じて地方創生の取り組みを促進していくことで、郵便局ネットワークの価値を向上させ、地域のお客さまの生活を総合的にサポートできるよう取り組んでいきたい。