松本総務大臣 郵便局は公共的に重要な存在
松本剛明総務大臣は5月26日の参議院予算委員会で、加田裕之参議院議員の「人口減少社会に郵便局網を整理するのでなく、自治体とのさらなる連携強化が必要と考えるが」との質問に対し、「総務省としても郵便局は地域のつながりを支える身近で公共的な存在として重要。マイナンバーカードの交付等に係る事務を郵便局での受託を可能とする改正郵便局事務取扱法を今国会に提出し、審議いただいている(6月2日成立)と強調。日本郵政と日本郵便は自治体事務の受託を含め、地域との連携を推進していただきたいし、郵便局ネットワークは適正に確保されていく必要がある」と見解を述べた。
地域の〝つながり〟支える郵便局
加田議員は「郵便局網の整理が必要との記事を見て目を疑った。いうまでもなく郵便局は、北は北海道から南は九州、沖縄まで全国津々浦々に我々のユニバーサルサービスを守っている。郵便局長の皆さんは各地で地域活動、地元の事情に精通し、防災訓練、さまざまな活動、地方創生の取り組みも多く進めていらっしゃる」と指摘した。
松本大臣は「日本郵政の増田寬也社長へのインタビューの一部をもとに報道されたものと聞いている。この記事に関し、増田社長自身が5月15日の決算記者会見で『郵便局ネットワークはさまざまな事業の基盤。経済合理性だけで整理するのは取るべき道ではない』と発言をされたと承知をしている」と答えた。
さらに「増田社長は経営者のため、コストを見ているのは確かだと思うが、デジタル化の推進や、都市部の郵便局は家賃が大変高くなっていることなどの課題を認識されていると発表されたこともあり、インタビューでもそうした趣旨で話されたのだと思う。日本郵政と日本郵便は法令により、将来もあまねく全国公平に利用できることを確保されるよう、郵便局ネットワーク維持が求められていることは、増田社長も十分に認識いただいている」と見解を述べた。
加田議員 自治体との連携強化が必要
加田議員は「増田社長は著書『地方消滅』の中で地域課題解決において、地域の活力を維持するために、しっかりとした皆さんの団結、協働が必要と触れられている。郵政事業を所管される松本大臣も地方創生の観点から、フランスの「ラ・ポスト」は役所機能を請け負って運営し、ドイツは1回郵便局網をつぶして再構築しようとしても、なかなか元へ戻らない状況をご覧いただきたい。研究はされていると思うが、ぜひ現場の郵便局の方々とも話し合って、リーダーシップを持ってやっていただきたい」と要望した。
一方、松本大臣は6月2日の記者会見で、記者団の「こども未来戦略方針案が示されたが、財源を巡り全国知事会など地方側からは、子育て施策の拡充に伴う地方負担分や、地方が独自に行う事業の財源を十分に確保するよう声が上がったが」との質問に対し、「少子化対策は地方創生の観点からも意義あるもの。また、自治体は住民、こどもに近い現場からさまざまな子育て施策を提供されており、国が進めるこども・子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組むべきことだ。地方が引き続き積極的に政策の強化に取り組めるよう、地方財源の確保は大変重要と私からも話をさせていただいた。会議で示された「こども未来戦略方針」案に地方財源について盛り込まれている。総務省は地方の意見を十分に踏まえ、関係省庁と連携して、政策課題と解決の現場である地方の財源確保に取り組んでいきたい」と語った。