郵便局と自治体連携、国の支援広がる 自治体マイナポイントもサポート
「自治体マイナポイント事業」を展開する自治体が、郵便局に住民の取得サポートを委託すると補助金がもらえることになった。総務省デジタル田園都市国家構想推進本部(本部長=松本剛明総務大臣)の「郵便局の強みを生かした地域活性化方策」と「郵便局の人材を活用した取り組み」の中に盛り込まれた施策の一つ。住民がポイント取得のためのスマートフォンアプリ等のやり方が分からない場合などに、局長や局員がサポートすることで郵便局は自治体から人件費としての手数料を受け取れる。
58自治体の郵便局は提案可能
総務省デジ田本部さまざま検討
「総務省デジタル田園都市国家構想推進本部」は昨年12月23日に5回目の審議を開催し、省内横断的に議論する「郵便局を活用した地方活性化方策検討PT」(キャップ=今川拓郎官房長)の報告内容を公表。郵便局のリアルな強みを生かす施策の中には先行実施中の「マイナンバーカード関連事務」もあるが、「自治体マイナポイント事業での郵便局との連携」は2022(令和4)年度第2次補正予算に計上され、申請のあった自治体に2月から予算の交付が始まった。
1718市町村のうち独自のマイナポイントを展開するのは現時点で58自治体だが、補助の仕組みを知らない自治体もあることから、郵便局側からの提案もできそうだ。
自治体マイナポイントと郵便局との連携のほかにも、①郵便局と連携した消防団への加入促進②郵便局と自主防災組織等の連携促進③元郵便局長や元社員の集落の課題解決の取り組みの参画④日本郵便本社における社外プロジェクトへの参画等の試行的実施⑤地域の「埋もれたお困りごと」の発掘と解決支援⑥災害時における郵便局の局舎・車両等の活用⑦郵便局と連携した買い物支援サービス⑧郵便局を活用した交流拠点づくり⑨スマートスピーカーを活用した郵便局によるみまもりサービス⑩郵便局と連携したオンライン診療⑪備蓄物資の保管および災害時の避難所等への配送⑫デジタル地図の地域社会における活用⑬大規模災害等、緊急時の郵便局データの活用――などを国が支援する。
それら施策は今年度中にヒアリング実施や実態把握を行い、2023(令和5)年度以降に取り組みを実行するために特別交付税措置等の予算が計上されている。
日本郵政グループは昨年11月に社外プロジェクトへの参画等、「戦略的副業」を可能とする方針を打ち出したが、人口減少や高齢化が進む集落で地域事情に精通した元局長や社員(本業に支障のない範囲で現役の局長や社員含む)を集落支援員として、市町村職員と連携して集落に目配りし、巡回するなど状況把握を行う人材活用も自治体に特別交付税措置が交付される。
総務省は「郵便局長や局員は地域事情に詳しい。現役の方も郵便局側の就業規則に沿えば活用できる形を今調整中」と説明する。
「郵便局と連携した買い物支援サービス」では、スーパーや商業施設に行くことが難しい買い物弱者の方のために郵便局に設置したタブレットを活用し、オンラインで商品を注文・配送する実証実験や、各地の郵便局を活用し、例えば、地域運営組織や地元スーパーにより買い物支援を実施。
23年度以降は実用化に向けて調整するため、地域運営組織(全国6064団体)と郵便局が連携可能と考えられる事例を都道府県や市町村に紹介し、郵便局が事業主体となりえる補助事業を郵便局に周知する。
「郵便局を活用した交流拠点づくり」は少子高齢化、核家族化、未婚化・晩婚化を背景に、単身高齢者や単身世帯の増加等で地縁、血縁といった人と人の関係性が希薄化する社会課題解決に向けて、郵便局の空きスペースを民間事業者等に賃借やリノベーションを行い、コワーキングスペースなどを住民に提供。スペースを貸し出して何か取り組むことを市町村が支援する場合も特別交付税措置で補助する。