インタビュー 安達章 四国支社長

2022.04.23

 2022(令和4)年度の四国支社のスローガンは「オール四国で新たな一歩 全員で創ろう輝く未来」。安達章支社長は「地域における四国の郵便局の取り組み姿勢は全国に誇れる。郵便局は今後も維持・発展しなければいけない」と四国の郵便局の存在意義を高めることを強調する。
 地公体はもとより、企業連携にも力を入れる中、「他企業や団体は、郵便局の店舗を残すビジネスモデルに非常に関心を持たれ、協力を求められている」とも語る。四国遍路の世界遺産登録や3年後の大阪・関西万博を機に、隣接する四国における地公体や企業との連携を模索している。営業体制もいよいよ「新しいステージ」に突入し、共創プラットフォームも本格化していく。

地公体・他企業が郵便局ネットワークに期待

 ――ご就任以降の感想や今後の展望を。
 安達支社長 温暖な気候と温厚な人柄の方が多いのが四国の特徴。大阪から来た私を社員の皆さんも温かく迎えていただいた。支社と郵便局が密着し、単マネ・エリマネ局間の関係性が良好なことも、営業成績が良い理由の一つだと感じた。四国遍路を回られている方に食べ物等を振る舞ったり、昔は自宅に宿泊させていた〝お接待文化〟が定着していることも関係していると感じている。
 愛媛県は正岡子規の生まれ故郷で、夏目漱石の『坊ちゃん』の舞台、高知県には四万十川等の美しい川、徳島県には祖谷渓谷、香川県には小豆島のオリーブなど、4県に点在する素晴らしい観光や文化、食の魅力を郵便局ネットワーク通じて全国へ積極的に発信したい。

 ――新しいかんぽ営業体制が始まります。人材育成等お教えください。
 安達支社長 就任以降、フロントラインの認識を把握するため、郵便局を訪問し、社員とディスカッションするとともに、窓口社員単独のフロントラインミーティングも57回開催した。
 新しいかんぽ営業体制スタートに向け、重要なことは「前向きなマインドと連携」。連携とは①コンサルタントと窓口の連携②ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険との連携。連携は郵政グループだけでなく、アフラックとの連携もある。
 また、過疎地等の対応を含め、お客さまに不便を感じさせないよう2月末までに引き継ぎを完了し、引き継ぎ件数が多い局は支社担当者による支援も行った。当初、不安そうだったコンサルタントや窓口社員もモチベーションが高まり、前向きになっている。
 人材育成では、四国支社若手社員と向き合う「若手塾」を6回開催した。入局当初、大阪の郵便局で深夜帯に郵便物を区分していた私自身の経験もざっくばらんに話しながら、10年後の四国支社はどうあるべきか、フリーディスカッションをしている。若手の意見はとても参考になる。
 他にも、郵便計画担当者のweb研修や、褒める文化としての各種推賞やインセンティブを実施した。例えば、交通事故防止は無事故1000日、2000日の局へ直接訪問・推賞し、モチベーションアップを図っている。

郵便局ネットワークの価値向上で四国の発展に貢献

 ――地公体や企業と郵便局の〝共創〟で印象に残る動きはありますか。
 安達支社長 地公体との包括連携協定を95全地公体の58.9%に当たる56地公体と締結し、連携を深めている。昨秋開催した「~150年分のありがとう~みんなの郵便局in高知」には、高知県知事や高知市長にもご出席いただいた。
 直近は、今治市との連携で今治市のゆるキャラ「バリィさん」をモチーフとし、FC今治を応援するラッピング郵便車の運行、コロナ対策に関するプレミアム商品券の販売、配送も多数利用いただいている。
 人口減少や少子高齢化が進み、地域経済縮小や衰退に直面する四国において企業間連携も力を入れ、四国電力様、JR四国様と三社協定を結んでいる。2021(令和3)年3月、その他四国の多くの企業等に賛同いただき「四国の発展」の共通目標に「四国家サポーターズクラブ」(3月4日時点会員数77社)を立ち上げた。
 四国家サポーターズクラブの取り組みの一環として、NPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」から協力依頼をいただいた「一日一斉おもてなし遍路道ウォーク」が2月23日に開催され、286チーム・1361名(うち郵便局関係73チーム、468名)が参加した。

 遍路道ウォークは遍路道の整備状況の点検が目的であるが、四国各地に郵便局長が存在することで日本郵便に対する期待は大きい。主催者も「社員の方々が四国各地で勤務される郵便局に世界遺産登録に向けた取り組みに協力いただければ効果は絶大」とおっしゃっていた。
 民間企業が過疎地から店舗を撤退する中、郵便局ネットワークを維持する日本郵便のビジネスモデルには高い関心を示されている。共創プラットフォームを実現し、四国遍路の世界遺産登録等、四国の発展に貢献したい。
 また、オリジナルフレーム切手も2021(令和3)年度は30件発行した。直近では徳島で話題になったバスと列車の一体的な乗り物であるDMV、また、徳島出身で2021年度パ・リーグ本塁打王のオリックス・バファローズの杉本裕太郎選手のフレーム切手を発行したが、即完売になったため追加発行した。
 2023(令和5)年度前期のNHK連続テレビ小説の主人公が、高知県出身の植物学者・牧野富太郎博士になるなど、今後も話題性の高い施策等が予定されており、積極的にフレーム切手を発行、地域のPRに努めたい。

 ――3者連携で、千葉県内の江見駅局のような駅と一体型郵便局のような話はありますか。災害時に備えた共創プラットフォーム等は。
 安達支社長 すでに須崎駅内局、丸亀駅内局では、JR四国様とコラボし、駅内で業務を行っている。今後もJR四国様と連携を図ることとなるが、環境問題の観点から列車での荷物配送等も可能性はある。
 四国電力様も、郵便局ネットワークを活用したビジネスモデルに非常に関心を持たれておられる。また、南海トラフ大地震が起きると津波等大きな被害が予測されることから、防災・減災対策も連携していきたい。
 2025(令和7)年に開催される大阪・関西万博は大いに期待している。万博に来られたお客さまに、四国にも来ていただく絶好の機会であり、四国経済連合、四国ツーリズム創造機構、地公体との連携の下、郵便局ネットワークを活用し、四国の活性化につなげたい。

 ――局長や社員の方々に伝えたいことはありますか。
 安達支社長 いよいよ「新しいステージ」の幕開けである。2022年度四国支社のスローガンは「オール四国で新たな一歩 全員で創ろう輝く未来」。
 地域における四国の郵便局の取り組み姿勢は全国に誇れるもので、郵便局は今後も維持・発展しなければいけない。郵便局が地域になくてはならない存在として、一緒に四国の発展に向けて、明るく、元気に、頑張っていきましょう。