新春インタビュー 総務省 今川拓郎郵政行政部長

2022.01.22

 総務省は現在、郵便局の持つ貴重なデータを安全に活用し、社会貢献につながるよう「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」を継続開催している。今川拓郎郵政行政部長は「データ活用をそれぞれの地域を起点として日本全体に広げることで、公的ニーズに応えながら産業発展等にも貢献できる道を探りたい」と話す。金子恭之総務大臣と郵便局長との車座対話(20面)でも司会を務めた今川部長は「新しいことにどんどんチャレンジし、サービスを開拓することが重要だ。〝成長〟と、さまざまな機関が相乗りできる地域の〝拠点機能〟の両輪を目指すべき」と語る。

公的ニーズと産業発展へ貢献を

 ――金子大臣と局長との車座は、どのような印象を持たれましたか。
 今川郵政行政部長 北海道白老町の局長の皆さんとの車座はまさに金子大臣主導で、大臣の強い思いがあって実現できた。白老町での行政事務の包括受託は始まったばかりということだったが、町長は「将来的にバス回数券やゴミ袋販売も含め、もっといろいろなサービスを郵便局に担っていただきたい。その上で支所廃止を検討したい」とも言われていた。
 特に過疎化が進む地方で、郵便局が基礎的な行政サービスの担い手として期待されるチャンスは十分にあると感じた。大臣からは「地域の重要なインフラとして、政府が進めるデジタル田園都市国家構想の実現に、郵便局が大きな役割を担ってほしい」と発言いただいた。実現に向けて努力したい。

 ――デジタル化と郵便局との関連をどう思われますか。
 今川郵政行政部長 デジタル田園都市国家構想は具体的な内容をこれから詰めていくが、その中で約2万4000の郵便局ネットワークも貢献できる部分があると思う。本構想と郵便局を絡めて進めることは非常に重要なテーマだ。
 地域の公共的なサービスを提供する郵便局は貯金・保険の金融と郵便・物流の機能を持つが、日本郵政グループは中期経営計画「JPビジョン2025」でも、DXやデータを活用した郵便局のデジタル化を打ち出している。
 総務省が昨年7月にまとめた「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」の報告書の柱は、郵便局の①デジタル化と②地域活性化への貢献――の2点。デジタル化は「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」を立ち上げ、郵便局データを活用するためにどうすべきかを検討中。
 地域活性化は、来年度、郵便局が中核となって、自治体や交通機関、農協、病院、学校等の公的な地域基盤と連携することで、地域の住民サービスを維持する取り組みの支援に8000万円を計上している。
 補正予算では郵便局のマイナンバーカード活用支援の予算も計上した。郵便局の地域貢献を支援する施策を通じて、郵便局がデジタル田園都市国家構想に貢献する取り組みを後押しできる。

 ――転居情報の自治体への提供など、地域を起点に日本全体を活性化させるための郵便局の役割とは。
 今川郵政行政部長 郵便局が持つ多様なデータの活用が、これまでは十分に図られていなかった。例えば、空き家対策に向けて自治体から郵便局が持つ転居情報を活用したいとの要望もあるため、安全や災害対応など「公的なニーズ」への活用は議論の大きな肝。もう一つは「ビジネスやサービス」への活用だ。
 一方、プライバシー保護は非常に重要なテーマ。さまざまな個人情報の取り扱いは慎重に検討し、公的ニーズにどう対応していけるか、ビジネス活用によって経済や産業の発展にどう貢献できるかなどについてガイドラインを作成した上で、スケジュールを詰めたロードマップを作成する予定だ。
 郵便局のデータ活用をそれぞれの地域を起点として日本全体に広げることで、公的ニーズに応えながら産業発展等にも貢献できる道を探りたい。

 ――政府保有の日本郵政株式の持ち分が3分の1になりましたが、これからのグループ成長に向けてどのような点に留意し、監督される方針ですか。
 今川郵政行政部長 かんぽ不適正募集問題等を経た上での課題は、再発防止の体制を構築した上で、グループガバナンスとコンプライアンスを徹底することにある。一方で、グループが成長するためには、新しいことに取り組む必要がある。現行の三事業維持だけでは必ずしも成長につながるとは思えない。
 新しいことにどんどんチャレンジし、サービスを開拓することが重要だ。郵便物は世界的にも減少傾向にあり、「リアル×デジタル」として「デジタル郵便局」も打ち出されているが、どう新たなサービスを生み出していけるかが鍵になる。
 ゆうちょ銀行やかんぽ生命も、今年4月以降に投資一任サービスや医療特約を重視した新商品を開始する方針を打ち出し、それぞれ認可申請や届出を出されているが、総務省としても新しいチャレンジのサポートが大事だ。
 新たな取り組みを成長につなげていただけるよう、日本郵政の増田寬也社長をはじめとするグループ経営陣の強いリーダーシップに期待している。

 ――地方創生への貢献が郵便局の生き残る道となりますか。
 今川郵政行政部長 郵便局はユニバーサルサービスが課されているがゆえに、地方の拠点、例えばコンビニがない地域等での存在価値は大きい。各地で人口減少は進み、本来の行政サービスの担い手である自治体の支所の統合・廃止が検討される地域等で、自治体事務の包括受託などのニーズが高まっていく。
 白老町でも、事務受託を通じて地域の拠点として重視すべきサービスやツールが明確になってくるとよい。メガバンクを含めた他の金融機関では、支店の廃止やATMの撤去も目立つようになってきている。地域の住民の生活を守る基礎的なサービスを担うさまざまな機関が、郵便局の基盤に相乗りできるという〝拠点〟としての意義は重要だと思う。
 一方で、こういった地域の拠点としての機能では、大きな利益を上げにくい面もあるだろう。成長に向けてデジタル時代の新しいサービスに取り組み、お客さまにどう受け入れられていくのか。ユニバーサルサービスの義務を担う中で簡単ではないが、成長のための戦略と地域の拠点としての機能をうまく組み合わせる両輪を目指していくべきだろう。