「置き配」事務14局 全国初 南魚沼市×市内14郵便局
信越支社(大曽根和之支社長=写真㊧)管内の新潟県魚沼地区連絡会(髙橋秀利統括局長)14局は南魚沼市(林茂男市長=同㊨)と連携し、「置き配バッグの郵便局窓口交付」の行政事務受託を7月2日から開始した。市環境交通課と現場の郵便局長とで密に話し合う日常をきっかけに実現に至った。CO2削減と深刻なドライバー不足による再配達率(4月時点で全国平均約8.4%)が高まる深刻な状況に鑑み、政府も6月から置き配を配達の基本ルールに定める検討を開始。置き配バッグ普及に向けた自治体と郵便局の連携は東京都八王子市等が先行しているが、市民配布に郵便局窓口を活用し、市が予算をつけて実行する形は全国で初めて。
ゼロカーボンシティ宣言実現へ
7月2日に南魚沼市役所で行われた「置き配バッグの郵便局窓口交付」の行政事務取扱開始セレモニーでは、林市長と大曽根支社長が署名により契約を交わした。林市長は「ゼロカーボンシティの目的達成に向けて、市も郵便局もウィンウィンの取り組み」と語り、大曽根支社長も「再配達削減は日本郵便にとっても非常に重要なミッションだ」などと意欲を示した。
環境省が「2050(令和32)年にCO2実質ゼロを目指そう」と各自治体に「ゼロカーボンシティ」を推奨する中、南魚沼市も4月にゼロカーボンシティを宣言。日頃から市と郵便局はまちづくり協議会等を通じて密接に連携してきたが、宣言を受けて市環境交通課の岩井英之課長や平賀豪主幹から細矢孝太局長(石打)に「CO2削減に向けて置き配のようなことを南魚沼でできないだろうか」と相談が持ちかけられた。
環境交通課の想いに現場局長ら奔走
細矢局長は早速、信越支社郵便局支援・未来創造部の栁澤順係長や髙橋秀利統括局長、上村真也副統括局長(越後上田)、種村和之局長(大和)、田口太局長(六日町)らに相談し、皆で対応に奔走した。
実現に至ったのは、市民参加型の「『置き配バックでCO2削減』モニタリングキャンペーン」。第1回目を6月2日から~7月1日に500人、2回目を8月12日~9月12日に300人を対象に実施することが決定した。
日本郵便のグループ会社であるJPコミュニケーションズが提供する置き配用バッグ「OITETTE」800個分を市が購入。モニター市民への配布の仕方を関係者間でさまざま議論する中、最終的に郵便局窓口から市民の方に配布する形が決定した。
仕組みは、市の広報にモニタリングキャンペーンのQRコードを掲載し、ネットから申し込んだ市民の中から市が抽選でモニターを選出。当選するとはがきが市から送付され、受け取った当選者がはがきを持って郵便局窓口を訪れて置き配バッグと交換する格好だ。市民の置き配バッグに対する興味は非常に高く、6月2日の募集開始初日で200人の申し込みがあったようだ。
国土交通省が検討中の「置き配の標準化」はさまざまなリスクに対処する方策も考慮しながらも受取人が特段の希望を示さない限り、置き配が今後の配達の基本ルールになっていくことが予測されている。