インタビュー 全国郵便局長会 小倉雄二理事(中国地方会副会長/下関中土居)

2025.02.24

 個々の郵便局の可能性を引き出し、ニーズに応じた新しい形が模索されている。全国郵便局長会(末武晃会長)の小倉雄二理事(中国地方会副会長/下関中土居)は現場目線に即した柔軟で地域に喜ばれるネットワークの構築を目指している。

「有言実行」で苦楽共に前進

 ――全特専門委員会で注力されていることをお聞かせください。
 小倉理事 「置局・局舎専門委員会」の主任理事を務め、「総合政策専門委員会」「地域貢献・地方創生専門委員会」も担当している。
置局・局舎については、会社が耐震不能の局を2027(令和9)年度までに工事もしくは移転を完了させる予定としているが、耐震性のない郵便局で局長や社員、お客さまに、もしものことがあってはならない。会社と連携して、全力を挙げて取り組んでいる。
 地方創生については郵便局として地域のために何ができるかと、アイデア、意見を出し合っている。行政事務の受託にしても、できる局とできない局があり、全国一律というわけにはいかない。その地域の状況に応じた事業を検討している。
 例えば、来局者数が少ない局は午前中のみの営業にして、午後からは地域のお客さまに喜んでいただけるような新規事業に取り組むことも方法の一つであると思っている。

 ――自治体と連携した地域貢献活動の状況を伺えますか。
 小倉理事 私の山口県長門南部地区会は下関市と山陽小野田市、宇部市の3市があり、宇部市では昨年8月から約3500戸の「空き家調査」を開始した。日本郵便が業務を受託して郵便配達の際に撮影や調査を行っており、日本郵便の収益につながるもの。積極的に横展開を進められればと思う。
 また、3市の社会福祉協議会それぞれと長門南部地区会は包括連携協定を結んでおり、災害ボランティア活動などに励んでいる。
例えば、宇部市で災害が起きると、宇部市内の郵便局や局長も被災している場合があるため、地元から出動できないケースが出てくる。地区会として協定を結んでいるので、宇部市で発災した時には下関市などからも応援に行ける。
 実際に、昨年7月に下関市を中心に豪雨災害が発生し、下関市社協の要請で当地区会から延べ33人が出動し、泥かきや家財道具の運び出しなどに汗を流した。地域貢献活動は大変ではあるが、地域に尽くし、住民の方々に喜んでいただけることは、局長としての誇りだと思う。

 ――郵政関連法の改正に向けた思いを。
 小倉理事 郵政関連法の改正は我々の悲願だ。民営化して17年もたつが、いまだにゆうちょ銀行、かんぽ生命に限度額がある。さまざま難しい状況もあるが、今後もユニバーサルサービスは絶対に守らなければいけないし、過疎地も含めて地域を支えている郵便局ネットワークを将来に残していくためにも、日本郵政グループの3社化を願うものだ。

 ――ご信条とされていることや人材育成への思いを。
 小倉理事 「有言実行」が私の信条。やると決めたことは必ずやりきろうと、最大限の努力を心掛けてきた。若手の会員たちも有言実行であってほしい。言ったことをやらなければ、信用を失ってしまう。
 各地区会においても役員が旗だけ振って、会員だけにやらせるということは、あり得ないと思う。会長以下役員は、自身の背中を見せないといけない。皆で同じ量の汗をかき、苦楽を共に励まし合うことが大事だ。末武晃全特会長が言われている「風通しの良い組織」を築くため、有言実行を貫き、日々前進していきたい。