インタビュー 自見はなこ地方創生担当大臣
自見はなこ地方創生担当大臣は「局舎という〝拠点〟を持ち、地域に根差した信頼ある〝人的ネットワーク〟を全国に広げる郵便局は心強い。『おたがいマーケット』の仕組みをぜひとも全国に広げていただきたい」と強調。局スペースを活用したオンライン診療の全国展開にも意欲を示し、願いを込める。
局でのオンライン診療に方向性を
――人口減少や少子高齢化が進む中で、地方創生に向けて郵便局や日本郵政グループのどのようなところに期待されていらっしゃいますか。
自見大臣 「人口戦略会議」(三村明夫議長、増田寬也副議長)が4月、2020(令和2)年から50年まで30年間に、744自治体で若年女性人口が50%以上減少するなどと公表された予測を重く受け止めている。
地方創生に向けては、①地方への人の流れをつくる②地方での仕事をつくる③地域で結婚・出産・子育ての希望をかなえる④魅力的な地域をつくる――の柱を4本立てている。四つ目の「魅力的な地域づくり」には、住民生活を支える仕組みとして、例えば医療や防災も入る。
地方はどこも人口減少によるさまざまな共通課題が深刻化している。ユニバーサルサービスという重要な責務を担い、住民の方々に寄り添ったあらゆるサービスを提供されているのが郵便局。
局舎という〝拠点〟を持ち、地域に根差した信頼ある〝人的ネットワーク〟を全国に広げていることは心強く、期待している。
――日本郵政グループの「おたがいマーケット」を地方創生の先進的な取り組みと評価されましたが、全国に広げるべきでしょうか。
自見大臣 奈良県月ヶ瀬地区での「おたがいマーケット」の仕組みをぜひとも広げていただきたいと記者会見でも申し上げた。地方創生や地域社会を支えるインフラの物流は「費用を誰が負担するのか」という問題にぶつかる。
2024年問題と物価上昇のダブルパンチで、何かを始めようとすると、「それは誰がいくら払って運びますか」と必ず言われる。
そうした時代に、「おたがいマーケット」は郵便局の強みを凝縮した課題解決の典型策になり得る。
住民の方々がスマートフォンなどで食料品や生活用品をネット購入し、郵便車の余積に載せて安価で運ぶ「ぽすちょこ便」で、個宅には配送せずに、住民の憩い場(月ヶ瀬ワーケーションルーム ONOONO)や郵便局に届けてくれるところがすごい。
「物流コストを安価に」×「地域の拠点での人との触れ合い」を掛け合わせる発想は素晴らしい。
人と人との絆を大切に、地域社会を築いてきた郵便局ならではの一工夫に感銘を受けた。
地方創生施策の中でも買い物支援は柱の一つ。全国の皆さまにしっかりPRしていきたい。
――郵便局スペースを活用するオンライン診療の全国展開には、どのような考えをお持ちですか。
自見大臣 あれほど大変な能登半島地震が起きた中、石川県七尾市の南大吞局(池岡直樹局長)における総務省実証事業は3月末に完了いただき、関係者の方々に心から感謝を申し上げたい。
好評だったことで4月以降も継続して局にブースを置いていただけることになったようで、今後、七尾市、市医師会と郵便局の3者で協議の場が持たれると聞いている。局長の方々が熱意を持って推進されているからに他ならない。全国でも必要な施策だ。
郡・市の医師会は全国に約850、郵便局は約2万4000局ある。両者とも公的なネットワーク。自治体が間に入って、暮らしの〝安心〟を守る郵便局でのオンライン診療は重要な施策になる。
今は実証段階だが、総務省や日本郵政グループをはじめ、全国郵便局長会、医師会や関係者の方々と論点整理を早急に行い、遠くないうちに一定の方向性を出していきたい。
――健康施策と地方創生を掛け合わせられるとお考えですか。
自見大臣 私は食品ロス削減を担当する大臣も兼務しているが、来年3月末までの間に日本における食品ロスの基本方針の見直しを閣議決定する予定。
食品ロス削減・食品寄付推進等の政策は、食でつなぐ共生社会そのものであり、こども食堂やフードバンク、広くは買い物支援も含む。
多くの郵便局が参画してくれることを期待しているし、物流も郵便局ならではのネットワークがあるので、健康に必須な食べ物の観点からも郵便局の方々のお知恵をいただきたい。