インタビュー 全国簡易郵便局連合会 瀬戸口美智子理事

2022.01.06

 人口減少と高齢化の波には逆らえない。全国津々浦々のユニバーサルサービスを今後どう維持していくか。厳しい状況下にあって、簡易局は分岐点に立たされている。全国簡易郵便局連合会の瀬戸口美智子理事(九州地方簡易局連合会副会長/宮崎県・後川内簡易局)は「新しい道を見つけなければならない。前例がなくとも、どうしたら課題を解決できるか、今こそ真剣に考えていくべきだ」と訴える。

前例なくとも、課題解決へ真剣に

 ――全簡連では、どのような取り組みを推進されてきましたか。
 瀬戸口理事 全簡連では2期目もネットワーク調査部会に所属している。直営局ではできても簡易局では取り扱えない項目などをまとめ、会社に要請書を提出した。『全簡連だより』の2月発行分の代わりに、県単位で出している情報誌を全国発信するように決めた。他県の情報を目にする良い機会になっている。
 ――簡易局が直面している課題について、どうお考えですか。
 瀬戸口理事 コンビニ等の利便性が増し、キャッシュレス社会が進む一方で、簡易局はデジタル化が遅れて利用者は減少し、窓口の取り扱いを増やすことはままならない。これは全国に通じる問題だ。
 今年4月から手数料が改正されたが、貯金を集めて収入を増やす時代ではなくなり、兼業や、地域・自分に役立つ何かを探していく必要があると思う。補助者の雇用や後継者不足、一時閉鎖局の増加など課題は山積しており、会社も簡易局も新しい道を見つけなければならない時だと思う。
 ――具体的にはどのようなアイデアがあるでしょうか。
 瀬戸口理事 例えば直営局と簡易局で臨時職員を共有できないだろうか。簡易局にも社会保険が備われば、後継者雇用の可能性が広がる。また、一人の受託者が二つの局を運営することができれば、一時閉鎖局の解消につながるのではないか。どれも簡単なことではないが、前例がなくとも、どうしたら課題を解決できるか、今こそ真剣に考えていくべきだ。
 ――防犯意識の向上のために大切なことは何でしょうか。
 瀬戸口理事 九州支社主催の30年表彰式典では、受託者が支社長から直接賞状を頂く。日々一人で仕事をしているが、九州、引いては全国に同じ仲間がいることを実感できる機会だ。この大きな連帯の中で働いているという意識や感謝の思いが、防犯やコンプライアンス順守にもつながっていくと思う。
 ――受託者となられた当初を振り返って今、思うところは。
 瀬戸口理事 開局の2カ月前に婚家の高原町に引っ越し、簡易局の仕事をするようになった。住むのも初めて、郵便局の仕事も初めてで分からないことだらけだったが、仕事のおかげで少しずつ周囲に溶け込めていった。
 地域のスポーツ推進や交通指導、少年補導の仕事にも携わり、地域の方々と協力してお祭りを復活させて18年、小・中学校での読み聞かせも20年近くになる。さまざまな人たちと関わらせていただいたことが、生活でも仕事でも支えとなっており、感謝は尽きない。