変わる資産運用(中) なかのアセットマネジメント㈱ 中野晴啓社長

2024.03.11

 ――新NISA制度の意義とは。直販はされないのですか。
 中野社長 非課税期間が無期限になったことで、いつ売らなければならないと考える必要もなく、永久保有ができる。もはや投資信託は誰もがNISAを通じてが大半になる。
 直販をしない理由は、過去のつみたてNISAの限度は40万円だったが、新NISAは桁が違い、大枠の中で株式も非課税で投資できる。1人1金融機関1口座なので、投信も株式もさまざま多種類から選びたいニーズに応えられるところに集中する。ネット証券などだろう。

意志込めた未来を皆で創造

 ――3月運用開始予定の2本の新ファンドが、ひそかに注目されています。
 中野社長 目指すのは、日本株と世界株で本格的なアクティブファンド。長期投資をする上で信頼と安心に足る会社を活性化し、社会を良くすることが第一義だ。
今はトピックスやS&Pなどのインデックス全盛で、それらに対するアンチテーゼになるが、真に力のある日本の未来を引っ張っていける会社を厳選して投資をすることがアクティブ運用の王道。そのためのファンドを創る。
 社会を良くする企業ととことん対話し、より良い会社に成長するにはここに力を入れ、この部分は捨てた方が企業価値を上げるとの資本市場のメッセージを伝えることも我々の大事な役目。メッセージに対し、努力いただくことで企業価値を一緒に上げるエンゲージメントを目指す。

 ――投資側の個人の方への思いを。
 中野社長 投資に参加するのは一人一人の生活者の方々だ。自分のお金を将来のために育てる一方、もう一つの観点は、日本の産業界を良くする方向に使われるよう思いを込めて投資いただき、お金の力で日本の将来をもう一度皆で元気にする。
 子どもや孫に良い日本の社会を残すために、自分たちのお金で意思表示をする長期運用だ。結果としてリターンが返ってくる。もうけや非課税でお得だから、とお金を集めようとは微塵も思っていない。