新春インタビュー 増田寬也 日本郵政社長
――地方創生に小規模な郵便局をどのように生かされたいとお考えですか。
増田社長 「令和6年能登半島地震」のお見舞いを申し上げます。地方創生の取り組みは自治体とさまざまな協力関係を構築すべく、昨年10月時点で45都道府県1450市町村と包括連携協定を締結した。
郵便局は全国津々浦々に設置しているが、小規模局が多く存在する地方では過疎化が進んでいる地域が多く、自治体の支所が廃止される一方で、急速なデジタル社会の進展への対応等さまざまな課題を抱えている。
連携協定を基盤に自治体との関係を強化しながら、地域経済の活性化や安心・安全な暮らしの実現に取り組んでいる。住民票の写しや印鑑登録証明書等の公的証明書の交付、プレミアム付き商品券の販売、マイナンバーカード関連事務等、自治体からいろいろな事務を受託するほか、タブレット端末を郵便局の窓口に設置し、地域住民と自治体職員をテレビ電話でつなぎ行政相談に関する支援を行うなど、あらゆる人がデジタル技術を利用できる環境を確保し、お客さまサービス提供価値の向上を図っている。
局窓口を通じて、自治体が近くにないお客さまの利便性を向上させることはもちろん、地域に身近な存在で、社員に気軽に声を掛けやすい郵便局の特性も生かしながらお役に立っていきたい。
中計見直しに〝人的資本〟を
――中計見直しで最も力を入れている部分とは。不動産事業への投資と今後の計画をお教えください。
増田社長 グループ中期経営計画「JPビジョン2025」は、昨今の激しい環境変化に対応し、新たなステージに進む。
お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」などの基本コンセプトはそのままに、郵便・物流事業、銀行業、生命保険業といったコア事業のみならず、デジタルトランスフォーメーション、人材・人的資本経営、サステナビリティとグループガバナンスなど幅広い観点から、見直しを進めている。
不動産事業は昨年11月に麻布台ヒルズ森JPタワーが開業し、今年はいよいよJPタワー大阪(KITTE大阪)が竣工・開業予定だ。経営基盤を支える収益の柱の一つに成長させるため、グループ保有不動産の開発とグループ外収益物件の取得等にも取り組んでいる。不動産事業への投資と計画は、建設費の高騰等の環境変化を踏まえ、中計見直しの中でしっかりと検討する。
――公共性と収益性の両立については。
増田社長 人口減少やデジタル化の進展などに伴い、地域から撤退する事業者がさらに増えていく中で、お客さまや地域が郵便局に期待する役割は、ますます大きくなる。
日本郵政グループは郵便局ネットワークを生かし、既存のユニバーサルサービスに加えて、自治体の行政事務やマイナンバーカード関連事務などの公共サービスを取り込みつつ、グループ外のさまざまな企業との連携を通じた新しい商品・サービスを提供し、より収益性を向上させることで、公共性と収益性の両立と拡大を図っていきたい。