インタビュー 小泉龍司法務大臣(衆議院議員)
――小泉龍司先生は2005(平成17)年時当初の民営化には反対されていましたね。
小泉議員 当初の民営化法は、国民の具体的ニーズから生まれてきた改革論ではない。あくまで机上の経済理論の観点(金融マーケットの効率化)から、金融2社を切り離し、これを完全民営化することを主要目的としていた。
切り離される側の郵便局は、届け出さえすれば、何でも新しい事業ができる、とスタートしたが、そもそもそうしたニーズがあった訳ではない。結果として、郵便局は、新しいビジネスモデルを見つけられずに、今日に至っている。
あらゆる生活インフラの拠点に
民営化法施行の約3年後には日本の人口はピークアウトし、世界に類がないスピードで減り始めた。今、地域社会の住民サービス提供という行政課題と、地域存続に向けた地方創生という経済課題は深刻さを極めている。
その解決策は二つある。デジタル化と郵便局ネットワークの活用だ。そして、デジタル×郵便局の人の力という形で、二つを組み合わせることだ。
例えば、郵便局におけるオンライン診療等は非常に期待できる。これまで郵便局はお金や通信の生活インフラというイメージだったが、健康の拠点にもなれば、本人や家族にとっては、ある意味でお金以上に大切な場になる。
――改正郵政民営化法も今、見直しが検討されています。
小泉議員 郵活連PTで検討される改正法見直し法は、机上の金融論ではなく、郵便局が日々対面する国民の生活ニーズを中心に据え、制度設計を打ち出さねばならないと思う。
日本郵政が保有する金融2社を全株売却でなく一定の歯止めを掛けることや3社体制にする等々、個々の手段はあるが、貫くべきものは約2万4000点在する郵便局の力をフルに国民のために発揮できる法案にすることだ。
一つ一つ着実に積み上げなければならないが、多くの知恵が生まれる下地や仕組みを作ることが、郵活連の取り組むべき法改正の理念だと思う。